僕の君15 私のあなた1
川辺の土手で目が覚めた。
ここはどこだ。何?眩しい…
みなとは目が覚めると目の前には雲1つない、満天の青空が広がっていた。
みなと(眩しい…何だ…)
みなとはガバッと起き上がった。
みなと「世界が…明るい…」
みなとは世界が明るいことに驚いて絶句して固まった。
黒い瞳が揺れ、動揺を隠せない。
みなと「声がおかしい、高いぞ。」
声に違和感、体に違和感を感じ、腕をジロジロと見た。
みなと(腕が細い。何だこれは)
みなとは更に体を触ったり、顔を触ったりもう一度腕を見たりした。
そして自分の胸を見て確信した。
みなと「女になっている…!」
みなと(だめだ、頭が混乱している。いったん落ち着こう。まず、ここはどこだ。情報だ、情報が必要だ。)
みなとは歩き始めた。しばらく、川にそって歩いた。
水面に光がキラキラと反射して宝石のように輝いている。
こんな景色は見たことがなかった。
みなと(村がある。あそこで、情報を収集しよう。)
村は川から水を引いて、稲作を行っている。
ボロ雑巾みたいな犬が家から出てきた。
お婆さん「まて、太郎丸。」
それを追いかけて、腰の曲がったお婆さんがよたよたと出てきた
犬はみなとの所まで行き、しっぽを振った。
犬「へっへっへっへっ」
みなと「おーヨシヨシ。お婆さん、ワンちゃん捕まえましたよ。」
お婆さん「お、おう。ありがとうな。」
みなと「お婆さん。実は遠くのいとこのおばあさんが病気になって隣町からここまで来たんだが。道に迷ってしまってな。ここは何て村だい?」
お婆さん「隣町からかい?そりゃあ、随分と遠くから来たもんだ。おー。おー。おー。ここは、ひまり村じゃよ。」
みなと(ひまり村?聞いたこともない。)
みなと「そうか。ちなみに、次の町までどれくらいあるかな?」
お婆さん「200kmぐらいかのぉ。」
みなと「まだ、そんなにあるのか!?」
お婆さん「今からだと次の村まで行くのに夜中になる。孫娘がいるが、泊まっていくかい?」
みなと「いいのか!?」
お婆さん「あぁ。ええよ。ええよ。孫娘も喜ぶやろ。」
お婆さんはニコニコしながらそう言った。
みなとは夜中とはいったい何なのか。検討もつかなかった。
何もせず、お客さんとして扱われるのも申し訳ない気がしたみなとは、壊れている荷車を直すことにした。
車輪の軸の木をナイフで丸くしながら、みなとは考えごとをしていた。
みなと(さっきまで、男で。物置小屋にいた。目が覚めたら、見知らぬ世界で。明るい世界。一体何がどうなった…)




