僕の君10
さくら「はっ?うけるんですけど。」
さくらはキレた。
さくら「あんたは魔法つか…」
みなとはさくらの口にハンカチを当てるとさくらは一瞬で眠りに着いた。
みなと「あーぁ。嫌だなぁ。何もしないで帰らせてくれる?大家さん。」
みなとは後ろにいる大家の方を振り向いた
大家「いーや、ダメだ。あんたらはあの中で死ぬ。それが嫌なら、弾丸が頭を貫く。どっちかだ。」
みなとはさくらを抱っこして物置小屋の一歩手前のベンチまで歩いた。さくらをそっとベンチに寝かせた。
みなとは大きく目を見開いて歯をむき出しにして大家を睨み付けた。
みなと「お前の顔は覚えた。ピンク色のカエルだ。カエルは嫌いだ。踏み潰してやる。覚えてろ。」
大家「はは、何て顔だよ。」
大家はこの見知らぬ男を罠にはめたのを後悔して冷や汗をかいた。
古くさい雨戸のような戸をガラガラと音を立てて開けた。
そこには小さい黒い球があった。
直径3センチ程だ。
だが、そこからはまがまがしさ。不気味さ。虚しさが、本来溜められる容量を越えてドロドロと溢れ出ているかのようだ。
みなとは背中に隠して装備してあった2本のナイフを取り出した。
みなと(今まで見たこともない異形だ。)
みなとはまずは様子見と思い。ゆっくり慎重にその異形から片時も目を離さず球を様々な角度から観察した。
左右に周ったり、上から見下ろしたり、目線を低くして正面から見たりした。
みなと(どうやら本当に、ただの丸い球体のようだ。だが、このどす黒さは異形に違いない。)
みなとはナイフを一本背中のソケットにしまい、腰のソケットから小さい手投げ用のナイフを取り出した。
みなと「まずは、これで様子見だな。」
みなとはナイフを黒い球体に向けて鋭く投げた。
…
目を開いたら、そこには誰も居なかった。
あの気の立っていた大家も居なかった。
私達は首になって、大家は冒険家を探しに行ったのだと思った。
私はその後になってから、みなとが居ない事に気が向いて探し始めようとした。だんだん意識がはっきりしてきた時だった。
大蛇のような、とてつもない魔力を後ろの物置小屋から感じた。
さくら「あ…あ…」
蛇に睨まれたカエルのように苦しい表情になった。
さくら(息が…息が出来ない。)
前に倒れるように足を踏み出した。
一本前に出ると呼吸が元に戻った
さくら(何よ。これ…何か多きな生き物に飲み込まれていくような…魔力なの?…これ…みなと。そうだ、みなとは大丈夫なの?どこにいるの?)
通常の魔力であるならば、魔法を使えない者にも無害だ。
あまりにも強すぎる魔力は人に被害をもたらす。
だが、それは弱い頭痛や、吐き気程度である。
このような、魔法使いでも息が詰まる魔力を浴びたらどうなるか、さくらにはあまりにも簡単に予想がついてしまった。
さくら(ここにいたら間違いなく死んでいる。)
さくらは顔が青ざめた。
(私があの時、行かないで、帰ろうと言っていたら。私のせいだ。どうしよう。どうしよう。)
呼吸が荒くなって、視界は狭くなっていく。




