痩せてみることにした
カロリーコントロールすれば体重なんて、ずずいずいっと落ちていくものなんだけれど、やはりある程度までいくとストップがかかります。そこから先はよりシビアな栄養管理と筋トレによる脂肪から筋肉の乗り換えが必要です。
ただ、筋トレは既に失敗しています。短期間に張り切りすぎて、逆に股関節とか痛めて整体通いするはめに陥っていたのです。ライ○ップみたいに誰かにトータルで管理してもらわないとダメですね。素人がやると手抜きかやり過ぎるかです。
そこでとりあえず、カロリー摂取を制限して体重だけでも一気に落とそうと画策します。連休を利用して、3日間3食をすべて生野菜とフルーツをスロージューサーでジュースにしたものでやってみようということになりました。炭水化物とか肉とか少しでも取らないと力が出なくて仕事が辛くなるけど、人間ドックも近いし、5月の連休中なら3日間くらい良いよね。
3日くらいだし……。
そしたらやっぱり1日目は辛いんですよ。野菜ジュースだけ、朝500、昼500、夜500mlというと、繊維質があるから腹持ちはそれなりで、味も変えているので食事代わりには良いけれど、なんとなく力が入らない。ちょっとした身体の動きでこむら返りする。ちょっとどうかなと思って本を読んでチェックシートを確認しても、気持ちがつらくなったらどうするかは書いてあっても、身体がつらくなったらどうするかまでは書いてない。
2日目になったら、身体が動かなくなってきます。手が上がりにくい。足が動かしにくい。椅子に座ったら立ち上がれない。なんとか立ち上がってトイレに行ってもなかなか戻れない。朝食後、起きているのがつらくなったので、こてんと横になったらもう身体が動かない。指先すらぴくりともしない。なんというか、あやつり人形の糸が切れた感じです。
「だいじょうぶ?」
「うん。少し横になってたら治るよ、たぶん……」
家人が心配して声をかけてくれますが、大丈夫と応えますが……大丈夫じゃないですよね? よもや自分がかかるとは思わなかった正常性バイアス。寝てて治るわけねーだろ!?
結局、救急車を呼んでもらって病院へ。
そのまま集中治療室に担ぎ込まれ、酸素マスクつけて、血圧計を血管に繋がれ、両腕には点滴2本、下半身には尿道カテーテルに透析管がズブズブッと。身動きできないままICUで48時間、少し動くようになって集中治療室の個室で2日間。一般病棟に移ってさらに2週間……。
野菜ジュースで身体を中からキレイにして、カロリーを制限して体重を減らして……という意義は分かるし、実際に同じことしていた妻はピンシャンしてすこぶる快調というので、つまりはベースとなる身体の調子が悪かったということなんですが、それでももうちょい分かるところに「こういう体質の人はやめましょう」とか「こういう症状が出たら中止しましょう」と書いてくれていたら良かったのにねと思わないでもありません。
つまりは、糖尿病性腎症。
数値としての糖尿病は落ち着いていましたが、それまでに高血圧で血管がパンパンになって腎臓が圧縮されて機能低下していて……というところに大量の生野菜とフルーツ投入で処理能力オーバー。カリウムの摂取過多になって神経がマヒしちゃったんです。もう少しで心臓が止まる危機。こわいわー。
そして、いったん悪くなった腎臓は二度と機能回復しないのです。休めば戻るとか、そのうちまた生えるとかないのです。
ああ、逆戻りできない、つづら折りの下り坂突入です。