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孤影悄然

――また、独りになってしまった。


 人魚の月を喰らふて幾星霜。私は常に寂しく「つがい」を求めた。


 素性を隠して、宮中で過ごしたこともあれば、あまりにも目立ち過ぎて狐狸の類と疑われ狗をけしかけられたこともあった。寂しい山間の村で、一人と寄り添って過ごしたこともあった。


 だが、子供も出来ない体。そして老けず死なず。それはまるで化生のように。


 皆、死んでしまった。皆、私を置いて時代を進めていく。知り合いは皆いなくなる。


 人魚よ……。お前が最期に見せた顔は、この意味であったか。


 月明かりを見上げれば、人類は月にも登っていく。世界は、私だけを残して、すっと先へ先へと進んでいく。



 彼女はその立ち昇る文明という名の煙を、ずっとずっと見つめていた。いつまでも。いつまでも。

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