2 花咲き娘と喧嘩
急ぎで書きました。
申し訳ないですが後で書き直すかもしれません
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「·····そもそもの問題ですが、私はまだ会長を置いていけるほどの位置にいません」
「·····急に何を言う」
ハッと馬鹿にしたように笑う会長にイラついて、一歩距離を詰める。
「だから、貴方は私の認識を間違えてるってことです」
それがなんだと言うような顔をする生徒会長の頬を私は勢いよく挟み込んだ。
形の良い切れ長の瞳がまん丸に見開かれる。
「いいですか、よく聞いてください。私は貴方が思っているほど強くない。直ぐに逃げ出したくなるし、嫌なことはできるだけ避けたいとも思います。·····私は、弱虫なんです」
こちらを探るように見てくる会長としっかりと目を合わせる。
「だからずっと逃げてきました。どうしようもなく感じる虚しさから。私は弱いから、向き合うのが怖かったんです。」
正確に自分の気持ちが伝わるよう、慎重に言葉を探しながら話し続ける。
「でも、いい加減前に進みたいじゃないですか。自分の心を満たす術を知りたいじゃないですか。
·····私は情けないことにやっと今スタートラインに立てたんです。だから、寧ろ私が会長に追いつけるように頑張らないといけない。貴方はずっと、のしかかる重責から逃げずに戦っていましたから」
「·····俺に、追いつくようだと?」
「ええ。まあつまり、結局今まで通りって事です。私は貴方を置いていくなんて更々思っていませんし、まだ全てが上手くいった訳じゃありませんから。それに、貴方は決して孤独なんかではありません」
「は?」
呆気に取られる会長に少しスッキリする。
こんな顔を見れるのはとてもレアなことだ。
「会長。貴方自身は気づいていないかもしれませんが、会長の周りにはいつも人がいますよ。貴方を慕い、サポートしたいと思っている方々が」
会長は自分に近づいてくる人達がみんな家柄目当てだと思っているようだが、子供の頃ならいざ知らず。
しっかりと人脈もできたこの年齢で、周りに絶えず人がいるのは、きっと会長の持つ天性のカリスマ性のおかげだろう。
現に私の元婚約者もリリア信者である前に生徒会長信者だったはずだ。
·····うん、いっそ気持ち悪いほどにいつも褒めたたえてたので相当憧れていたのだろう。
「きっと面倒臭い性格の会長はすぐには納得できないと思いますけど」
「随分な物言いだな」
今までの胃への負担の腹いせにチクリと小言をいえば、会長は僅かに微笑みをうかべた。
「貴方の周りには真実、貴方を慕い、尊敬するからこそ人が集まっているということをお忘れにならないでください」
しばらくの間、私も会長も何も言わなかった。
その間、私はただ風に揺られて花がそよぐのを見ていた。
「·····確かに、まだ納得できない部分もある。それに君を諦める気もない」
「え"」
予想外の言葉に野太い声が漏れる。
普通こういう場合って諦めるのでは?
というか切実に諦めて欲しい。主に私の胃のために。
「だが、そうだな。今、君の姿を見て少しだけ俺もたまには自分を労わるのも良いかと思えた」
そう言った生徒会長は今まで見た事もないような柔らかな笑みを浮かべると、私を抱き寄せた。
·····え?抱き寄せた?
「か、かか会長?!」
「なんだ?」
「離してください!」
「嫌だ」
先程までの余裕はどこへやらと慌てる私に会長が実に楽しそうに答える。
ぬぁにが嫌だ、だ!!離せ!!
「ある程度、覚悟はしていた」
「·····へ?」
腕の中でもがく私の耳に会長の低い声が聞こえた。
「ここに来た時の君の目が、以前とは違っていたから。でも」
·····でも?
「自分でも思っている以上に俺は君に惚れているらしい」
ぎゅっ、と少しだけ抱きしめる力が強くなった気がしたのは、私の気のせいか。
「ちょっ?!いや、あの、私のさっきの話聞いていましたか?!私、依存し合うのは嫌だって·····!」
「依存じゃない。これは恋だ」
「·····はぁ?!」
「最初はただの依存だったはずなんだがな·····。さっきの凛々しい姿を見て完璧に惚れた。依存ではなく恋なら問題ないんだろう?」
嬉しそうな声が聞こえてきた。
私は嬉しくない!!
な、何このパターン!!私はこんなの知らない!!
この場合、普通少しは引こうとか思わないの?!私、思いっきりお断りしたんだけど?!何故また振り出しに戻ってる?!
「生憎、気持ちよく送り出せるような性格をしているような男だったらこんなになっていないさ」
クックッ、と喉で笑う会長に確かにと納得しそうになって慌てて首を振る。
いや、そこは気持ちよく送り出そうよ?!
て言うかさっきからもがいてるはずなのに、なんでビクともしないんだよ、この腕。
なんか金属でも入ってるんですか。
必死にもがく私VS腕力おばけ会長で全く勝負にならない戦いを繰り広げていたのだけれど、その勝負に終わりは唐突にやってきた。
「随分楽しそうなことしてるね」
爽やかな声と共に何者かによってべりっと生徒会長から引き剥がされたのだ。
た、助かった。
お礼を言おうとその人物の方へ向き直った私は硬直した。
ア、アルトさん·····。何故ここに?!
デビルスマイルが今日も今日とて輝かんばかりのアルトさんは私を見て「朝からいなかったからどこにいるのかと思ってみたら、とんだ災難にあってたみたいだね」と近づいてくる。
·····気の所為だったら良いんだけど、なんか怒ってない?
「いや、まあ、これには深い理由がありまして」
「これはこれはアルト殿。貴方の出る幕はありません。お帰りならあちらですよ?」
何とか弁解を、と焦る私の隣でにこりと会長が何故か殴り込みに行く。
何故火に油を注ぐ?
「ええ、それなら帰らせていただきますね。行こうか、アリーサちゃん?」
そして会長に負けず劣らず性格のひん曲がったアルトさんは私の手を取り、歩き出す。
「私はアリーサと話をしていたのですが?」
左手を会長に掴まれた。
ちなみに右手はアルトさんが握っている。痛いです。
「ああ、これは失敬。私もアリーサちゃんに話があるので今回はこれで」
グイッ、とアルトさんが私の腕を引くものの、会長が離さない。
「·····常識がないのでは?」
「ハッ。貴方がそれを仰いますか」
バチバチと私の頭の上で火花を散らすのはいいけど、せめて手を離してくれないかな。
死んだ目で綺麗な景色を眺めながら私はそんなことを思っていた。
結局この腹黒同士の喧嘩(?)は私を探しに来てくれたミャーシャさんからの雷が落ちるまで続いた。
·····なんか私が想像してたのと違う。




