悪役令嬢は重課金専用ダンジョン経営を始めてみた。
私は世間一般様から言わせてみれば、悪役令嬢と呼ばれる分類になるんだろう。
数いる婚約者を策略にはめ、意中の彼氏をゲットし。
領民には重税を課して、自由気ままに贅沢の限りを尽くしている。
そんな私が重課金様専用のダンジョンなんてものを始めたものだから一躍有名になった。
重課金様専用。
それはイコール無課金様お断りダンジョンという事だ。
この世界には『課金』をすることでチート級のアイテムや傭兵を手に入れることができるという理がある。
その『課金』をするにはひたすら貴族に貢ぎ物をして得ることができる『銭』を手に入れるしかない。
『銭』の所持量は貴族の格を表すもので、この滅びゆく世界には希少な存在である。
『銭』自体がもう生成される手段がない存在なのだ。
数多の冒険者が無課金で攻略してやると意気込んで侵入しては入口の上級魔族に消し炭にされていった。
上級魔族つおい。
ちなみにこの上級魔族は『銭』を『課金』することで雇った傭兵だ。
世の中『課金』が全てなのである。
私は日がな一日、特等席で、上級魔族が冒険者達を消し炭にするのを鑑賞する。
一人、また一人と無謀な冒険者達が屠られてゆく。
その光景を見ることが愉悦の一時となった。
そんなある日、超重課金冒険者のパーティーが現れた。
パーティー名は『TOP OF STARS』。
何がスターの頂点だ。
私の重課金専用ダンジョンで消し炭にしてくれる。
しかし、そんな私の思惑とは裏腹に、連中は入口の上級魔族を易々と葬り去る。
く……しかしやつは四天王(仮)の中では最弱。
まだこのダンジョンには無数の上級魔族を召喚しているのだ。
ちょっとやそっとの『課金』レベルじゃクリアできやしないわよ。
ダンジョン内に逆巻く炎。
連中を襲うラスボスの猛攻。
そのどれもが一般的な装備で耐えきれる代物ではなかった。
しかし『TOP OF STARS』の面々はあらゆる『課金』アイテムを使用し防ぎきった。
キー!!!
何なのコイツら。
何でこんな廃課金なのっ!!
私は通信機で『TOP OF STARS』のリーダー(男)と接触してみることにした。
「なんなのよあんたらは!!」
「だって僕達はこの世界のアイドルだから当然なのにゃん」
はぁはぁ。
そうですかアイドルですか。
こうして『TOP OF STARS』は伝説のアイドルとなった。
私は打倒『TOP OF STARS』の為に今日も重課金専用ダンジョンを生成する。
待ってなさいよ!!!!!
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