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死神と少女  作者: 椎名圭
笑う少女
2/2

先生、消えた

少し気分が悪くなる言葉が出てきます。

一応、○で伏せて記載しております。

「ちょっと夏希! あんた聞いてるの?!」


 聞きたくもないのに、毎朝毎朝耳に入ってくる言葉。


「うん」


 いつも思う。ご飯くらいまともに食べてみたい、と。塾に行くようになったのは、私が小学三年になった夏休みに受けた、全国小学生学力テストでの成績が市内でめちゃくちゃに良かったから。勉強は、別に嫌いじゃなかった。それしか、自分が保てなかったから。


「早く食べれば? おバカさん」と、お姉ちゃんという悪魔は、いち早く先に食べ終わり中学へ行くしたくをしていた。


 また、お姉ちゃん新しい靴下履いてる。自分のは、もうよれよれでゴムの部分が伸びきっている。


「お、お母さん」少しのご飯を無理やりお茶で流し込み、イソイソとお姉ちゃんの支度を手伝っている母親という悪魔に声を掛けるも、無視をされ、何度か大きな声で呼ぶと、嫌そうな顔をこちらに向けてくる。


「なに…」お母さんは、腰に手を付けて、私を見た。


「私も、新しい靴下欲しい」そう言っても、私の願いなんて…


「まだ履けるじゃないの! あんなにいっぱいあるし」


 ほらね、絶対に叶わない。


 分かってる。いつも、そう。私のお願いなんて小学校に入ってから、何ひとつとしてきいてくれたことなんてなかった。せめて、今日くらい怒らないで、言ってくれたっていいんじゃないの?娘の誕生日くらい!


「あっ、そう言えば。夏希!」急にお姉ちゃんが私の方を振り向いて、こう言った。


「あんた、今日誕生日だったんだ」ニヤニヤと笑いながら、こうも続けて言った。


「だったら、早く死んでよね。迷惑なんだから」と…。


 お姉ちゃんは、お母さんと一緒に車で学校に行き、私は一人でトボトボと歩いて学校に向かった。


「はぁ」と小さなため息をつきながら、真新しい校舎を校門のところから眺める。


 おはよう!だの今日の算数のテスト勉強した?だのと言う言葉が私の身体を突き抜ける。


 どこにいても私は、空気のように扱われる。


 騒々しい教室に入っても、誰も私に声を掛けることはなく、一瞬の静粛のあと、また賑やかな教室へと戻る。


 ほ、ほんとうにあの日記帳に書いたこと現実となってくれるのかな?そう考えながら椅子に座ると、ガンガンと後ろから椅子を蹴られる。


「おい、邪魔だ。退け!」と乱暴にランドセルを後頭部にぶつけてくる磯崎くん。


「小川さーん!」不意に名前を呼ばれ、顔を上げれば、バシッと誰かの体育館シューズが顔に当り、ツーッと鼻血が出たのを感じた。


「ねっ? 喜んでるでしょ?」


「小川さん! 大丈夫? 鼻血出てる。保健室いこ」と、嫌がっても無理やり連行され、階段の陰になっている場所でお腹を殴られたり、突き飛ばされたりして、放置。


「あーっ、スッキリしたぁ!」楽しそうな声が、予鈴と一緒に耳の中に入る。


「保健室行かないと」


服の乱れを直しながら、トイレの鏡で顔を見る。

「鼻血だけで良かった」学校でいじめられてるなんて、お母さんやお姉ちゃんに知られたら、またなんてバカにされるかわからない。


 カラカラカラと静かに保健室のドアを亜kwルト、ツンとしたエタノールの匂いが鼻をつく。


「あの…」


 運よく、保健の先生がいて、鼻血の処置をしてもらう。


「ダメよ? よそ見なんかし歩くから、壁にぶつかるんだからね」


「はい。次からは、気を付けます」


 それでいい。


 そう言って、ゆっくりと教室に戻る。どうせ、私が遅れていっても、先生はなにも言わない。私は、先生のお気に入りの生徒じゃないから…


教室に入った時は、ちょうど朝の会だった。先生が、チラッとこっちに目を向けて、出席簿にチェックしていく。


「チッ、生きてたか」


「迷惑…ふふ」こういう言葉は、もう慣れた。最初は、嫌だっていっても誰もやめてはくれなかった。寧ろ、余計にひどくなったと思う。


 それでも、勉強してる時は、誰も苛めてくることがないから楽だけど…


「……。」


「小川さん、どうしたの? 今日、小川さんの誕生日だからって、せっかく東くんが持ってきてくれたのよ?」と汚いものを見るように離れた場所からゴ○ブリの死骸の入ったものを指さす。


「ほら、お前これ好きだっていったんだろ?」と東くんが私の給食のご飯の上に乗せ始めると、遠巻きで見ていた他の子が、騒ぎ出すも、面白半分にはやし立てる。


「食―えっ、食―えっ」


「早く食っちまえよ」


「食わせてやるぜ。なぁっ?」


 背後から身体を羽交い絞めにされ、口を無理やり開かれた中に…


「んぅっ、んぅっ…」


 足をバタつかせながら、Gの入ったご飯、牛乳を入れられ…


 ゴクンと飲み込んだ。


「すっげー。菌は菌になるものが好きなんだなぁ」


「きったねぇっ」


「いい気味よ」色々な場所から声が聞こえた。


 あとで吐いてから、保健室に行って休もうかな。あ、今日塾か…


 大慌てで給食を片付け、一階の職員用トイレに駆け込んで、吐いた。ドアを開けたら、音楽の先生がいて、ちょっと注意されたけど、怒られはしなかった。ここの学校の生徒は、職員用のトイレが使えない規則だから。


 そこを出て、保健室で仮病を使って胃薬を貰って飲んで教室へ戻る。


 保健室の先生から連絡が入ったらしく、五時間目の授業に遅れても先生は、何も言わなかった。


授業を終え、帰りの会をし、走って家に帰って、ランドセルと塾の鞄を交換し、塾へと向かう。


 ここでもいじめは受けるけど、今日は少し自分の気持ちが違っていた。


 コチコチコチと時計の針が一定の間隔で動く。


 あと五分…三分…一分…


 いつもなら始業五分前には、先生がくるのに…


「なぁ、あいつ遅くね?」


「休み?」


「さぁ?」そんな言葉が私の周囲で囁かれる。


 ガラッとドアが開いて、入ってきたの教頭先生だった。


「遠山先生は、お休みなので…」と真っ赤な顔をして、言っていた。教頭先生は、嘘をつくと顔が真っ赤になるって、前にお姉ちゃんがいってたから。


 もしかして、効果なかったのかな?と思ったけど、遠山先生は、金曜日の日も土曜日の日も教室に現れなかった…


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