第6話 いいからハローワーク行けってば。
「待ってくれ、今魔力って言わなかったか?」
「はい!言いました!おにーさんは魔王様なのは知ってます!エクスカリバーさんが言ってるので間違いありません!」
マジで何者だこの大家。ヒトミから聞いた話だと地球には魔王や魔族、魔法などの概念はあるが、全て空想のもののはず。見た目10歳にも満たない幼女が信じてるにしては確信的だし、考えてみればそもそもこの歳で大家なのもおかしい。
『その疑問は私が答えよう…』
「うわ!?フライパンが喋った!」
『フライパンではない。エクスカリバーさんだ。君にはここ地球【アース】からみた異世界【アナザー】の王として色々説明しなければならないことがある…。』
自分でさん付けするなよ。まあいいけど。
とりあえず、向こうから教えてくれるならこれに越したことはないだろう。分からないことが多すぎる。
『自分でさん付けしてる訳ではない。私の名前は【エクスカリバーさん】なのだ…。
…さて、どこから説明しようか。まず、世界は無数に存在することはわかるか?』
いちいちこちらの考えを読み取らないでほしいし、いきなり話を飛ばしすぎなんだよ!
と、言いたいところだが、実は世界は複数存在することは知っている。少なくとも、【アース】【アナザー】そして、駄天使の故郷である【ユートピア】だ。他にもある可能性は十分考えられる。
『わかっているなら話は早い。メイと私は【アンダー】の王だ。』
なるほど、ようやく理解した。それなら色々筋は通る。
しかし、新たな疑問も生じる。一体彼女は何歳なのだろうか。俺も見た目は10代後半だが、100年以上は生きている。
『いや、その娘は見た目通り7歳だ』
バカな…
『話が逸れてしまったな。さて、無数の世界があって、それぞれ王がいるところまでは理解できたな?ここ、【アース】の王は誰だと思う?』
「いや、俺もこっち来たばっかりだし知らんよ。」
『まあ、そうか。正解はいないんだ。強いて言えば【人間】だな。そして、理由は私たちにも分からないが、現状を問題視している【何者か】がいる。その者は私たち別世界の王に干渉し、なんらかの形で地球に興味を持たせようとしている。他にも別世界の王が来ていると考えていいだろう。何を企んでいるかは知らないが、私たちは今その者の手のひらの上だ。』
「そうか…だいたい分かった。で、お前たちはどうするつもりだ?」
『情報が足りなすぎる。とりあえずは王たちを探してみるところからだな』
こいつの言ってることがどこまで本当だかわからないが、今はこれしか情報がない。今は動きを合わせるべきだ。…この考えも読まれてるな。
「なら、俺も協力しよう。よく分からん陰謀に利用されたままなど魔王としてあるまじき失態だ。」
『ああ、助かる。それでは…ハローワーク行ってこい。』
なんか乗せられた気がする。
最後まで読んだ頂き、ありがとうございます。評価、コメントよろしくお願いします。急展開すぎて申し訳ないです。