汽動車
蒸気機関車の時代。電車は非常に高価なシステムであるがゆえに(今でも勿論高価なシステムであるが)、その代替手段として考えられたものが汽動車である。そもそも汽動車が必要とされるようなところとは、蒸気機関車では輸送力過剰で、しかし、電車は非常に高価で使えないところである。ならば客車に機関を着けるという発想となる。そのとき使う機関には、選択肢が二つか三つ有った。
第一がガソリンエンジンである。そしてデーゼルも選択肢に入るが、この場ではガソリンエンジンと同じ扱いでもよい。第二が蒸気機関である。しかして当時はガソリンエンジンには、というより今もだが、大きな欠点がある。それは何か?
そうだ。スターターモーターだとかセルモーターとか言われるもので、あるいはクランクを用いて外部から力を与えてからでないと始動が出来ないことである。バッテリーが上がりきっていると自動車が動かせないあの理論である。それに対して蒸気機関は、完全に止まった状態から蒸気を突っ込めば速やかに始動できる。そんなことから汽動車等という、蒸気機関で走る客車のよーなものが生まれたわけである。
さて、この汽動車、いったいどんな構造をしているのだろうか。幸いに一台現存している。まぁ、私は見たこと無いんだけども。この構造、聞いて驚くなかれ。なんと小さい蒸気機関車をそのまんま客車のよーなものの前端に詰め込んでみましたしたよーな構造をしているのである。しかも足回りは一般的なワルシャート式弁装置である。つーか何でこうなった。しかも運転台は両端にあり、加減弁も逆転機も離れたところからワイヤーで操作することとなる。なんか壮絶に運転難しそうだな。
一時期ミョーに流行ったようだが、あっさり廃れた。何故か。まず、何故蒸気機関車の運転台は後ろの方にあるのか、という理由と同じ理由で廃れたのだ。坂道やトンネル等の時に罐焚きと機関士の適切な連携をとるためには、あの蒸気機関車の配置が適切なわけである。それが汽動車になると、伝声管が頼りであるだからか、連携がうまくとれない。また、蒸気機関車ですら整備が大変なのに、変な構造のあまり、余計に大変なことになっている。というか足回りごと機関をはずすとか、はずしたあと台をかませる手間がかかるし、洗罐だって手間だし。結局ガソリンエンジンにとって変わられたのである。
この時、汽動車の名は失われ気動車となった。
http://g-gauge.world.coocan.jp/PROTOTYPE/JNR/6005.html
このサイトが参考になる。つかした。