『昭和の時代にタイムスリップ!〜喜多方の魅力溢れる居酒屋〜』
出張で東京や仙台など多くの土地を訪ね歩いてきた私だが、醍醐味はアフター5に付き物の居酒屋探索である。
新橋の赤提灯街には、仕事に追われながらも束の間の癒しを求めるサラリーマンの姿があり、今では減少しつつある立ち飲み屋も活気で溢れている。
少し路地を入れば、ビールケースを椅子に、ベニヤ板をテーブルとして利用した、昭和の時代にタイムスリップしたかの様な居酒屋がいくつも存在する。
六本木や銀座の高級な居酒屋や、割烹、鮨屋にも、年に一度か二度出入りする事もあるが、正直、コストも高い上に堅苦しさが私の足を軽くしない。
何も上記の様なお店を非難をしているわけではない。
私の場合は、スーツを着て一日の終わりを迎える場所に、高級さや厳かな雰囲気を必要としないのだ。赤提灯街で人混みに紛れ、世間話をしながら飲食していた方が性に合うのだ。
そんな私だが、地元である福島県喜多方市で、昭和の情緒溢れる雰囲気を醸し出す、素敵な居酒屋を紹介するのが今回のコラム。
喜多方市内の中央通りに、マーケット横丁と名付けられた居酒屋街がある。
右も左も築数十年も経った長屋が続き、昭和の時代を思わす情緒溢れる居酒屋街。
焼き鳥屋や、ラーメン屋、喫茶店、スナックなどの飲食店、更には化粧品を取り扱う専門もお店を構える。
その中でも、マーケット横丁の入り口に今回読者の皆さんに紹介したい『鮮魚 海裕丸』がある。
夕方5時を回ると同時に、赤提灯が灯り『鮮魚 海裕丸』の看板が立てられる。
『鮮魚』と記してあるが、引き戸を開け入店すればL時のカウンターがあり居酒屋である事に気づく。
店主の伊藤さんは、以前から魚屋を経営していたが、魚屋のスペースを夜の部門でも有効活用しようと居酒屋を始めた。
入店するとまず目が行くのが、大迫力の大漁旗。畳4畳程もある大漁旗が店内に飾られている。
聴こえてくるBGMは勿論定番の演歌。
そして一つ目の醍醐味。
店主にグラスを貰い、缶ビールや瓶ビール、缶酎ハイを冷蔵庫からセルフで持ってきてグラスに注ぐのだ。勿論、オーダーできる生ビールや焼酎の水割りもあるのだが、セルフサービスというのが他の居酒屋ではなかなか経験できない醍醐味である。
二つ目の醍醐味。
店内に設置された、スーパーでよく見る冷蔵の陳列ケースを眺めると、鮮魚店だからこそ食べられる、珍味や新鮮な刺身が陳列されているのだ。寒い時期は湯豆腐やサクサクの厚揚げ焼きなど、お勧め商品に目移りしてしまう。その上値段もリーズナブルでお酒が進む事は間違いないのだ。
三つ目の醍醐味。
店主伊藤さんの人柄がお客を呼ぶ事である。一人で切り盛りをする店主だが、忙しい時でも決してお客を蔑ろにしない。その上に、遠くから出張でいらっしゃった一見さんにも気さくに会話を持ちかける。勿論、今まで無口だったお客は話しかけられると楽しそうに会話をしだすのだ。
四つ目の醍醐味。
知らないお客同士が一瞬にして仲間の様な雰囲気になれる。それが積み重なり、一人でも入りやすい居酒屋が形成されてきた。
以上、四つの醍醐味を書き記したが、今回写真を掲載できないのが残念で仕方ない。
東京や仙台など、小洒落た居酒屋やBARが次々と進出する中、冒頭に挙げた『昭和の匂いを醸し出す居酒屋』が喜多方にもあるのだ。
憂鬱な月曜が顔を出し始めた日曜の夕暮れに、少しでも活気を与えてくれる場所がある事に私は心が安らぎ来週を乗り切る活力さえ覚える。
どうでしょうか?皆さん。喜多方にいらっしゃった際は是非顔を出してみて下さい。