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『「行ける場所」ではなく「行きたい場所」へ』旅行代理店勤務、キャリアウーマンの本音。


都内、旅行代理店勤務・キャリアウーマンの本音!!




現在、有機農法を利用した青果や蕎麦などを首都近郊などに発信・営業をしている私だが…。出身大学というと福祉分野の大学、全く違う(フィールド)で活動している。




先週末、営業で都内を訪れた私。


日が傾く頃仕事がようやく片付き、実家である会津に帰ろうと山手線に揺られていた。


ふと、スマホを確認すると、LINEに①と表示されていた。


私より年齢が2つ上の女性からだった。


今回は、都内で旅行代理業に携わってる方と久々に再会できたことで、沢山の興味深いお話を聞く事ができた。



『「行ける場所」ではなく、「行きたい場所」へ。』


彼女が真っ先に掲げるテーマ。


今までも、会う予定があれば、毎回渋谷あたりで落ち合い、ご飯となれば、行き先は小洒落た居酒屋やBAR。


そこで毎回4時間は、あらゆる分野について深い話に陥るのだ。


彼女は、独身で、お酒も強い上に、旅行企画部門ではキャリアウーマンとも言える程…。誰も考えがつかない様な企画を考える、いわゆる「出来過ぎる女性」とでも言っておこうか。



その彼女!いや!キャリアウーマンが私に、「相談?提案?」があるとの事だった。

会津に帰ってからも仕事が詰まっていたので、断ろうとも思ったが、久々の再会、その上彼女からは学ぶ事が多いので東京滞在を1日延ばした。



前置きとして書かせて頂くが、私は医療福祉専門の大学を卒業し、社会福祉士を取得したので、その流れで福祉施設に就職した。

しかし、勤めていた社会福祉施設の職務に、ある理由があり2年あまりで退職した。理由は、「ご利用者様がある日突然亡くなって行く…。」


高齢者の残りの人生をプラン二ングしていくのだが、その方が突然亡くなった時に、後悔しか残らない自分がいたのかもしれない。

「人は寿命が必ずあるものだが、亡くなった時に、あの時もっといいケアができていれば」などを理由としよう。

この話は前置きの話なので、一度保留する。



話は戻るが。


彼女、旅行の企画を提案するスペシャリスト、いやキャリアウーマンが私に久々に会った時の言葉。


渋谷ハチ公周辺。



「あんた!どこにいんの?」


「犬の銅像の近くの…」

と、言い終わる前に。


「あっ!いたわ!発見!発見!」


「さっきLINEでも言ったけど、相談とか、いろいろ話したい事あるのよ!あんたも一応、福祉の知識人でしょ?とりあえず、時間も時間だし、飲もうよ!」


時計を見ると

午後18時を回っていた。


キャリアウーマンである彼女が発する言葉はある程度は予想していたが、久々にあった彼女の言葉には驚かされ、私も身をゆだねるしかできなかった。




居酒屋に入り、ビールで久々の乾杯。


「なんだ!元気そーじゃん!変わりねーの?」


「はっ!?あたしがそんなにへばってると思う?これからの事考える事沢山あってさ!ちょっと聞いてくんない?新しい企画なんだけど!あんたが昔言ってた言葉思い出してさ!」


すると彼女は、企画提案書を誇らしげに提示してきた。


その企画書を見ながら私は、


「ふーん。いいんじゃない?また、金目当ての事考えてんでしょ?」


「あんたは正真正銘の馬鹿だわっ!営業の仕事してるのなら、少しは理解できない?」


「まぁ…それはそうだけど。この企画で通せばいいんじゃないの?通らないの?」



すると、彼女から思いもよらぬ答えが返ってきた。




「歳を召した方とか、身体が不自由な人の旅行を可能にする様な企画を立案したいと思ってさぁ!ほらっ!介護者の負担とか、宿への不安から躊躇するじゃん?家族とか介護する立場の人たちも、疲労とか心労が蓄積して、旅行する事でのリフレッシュが必要な人っていっぱいいるのに、家族全員で旅行に行ける環境はないって諦めてしまう現実って意外とあるんだよ!こういうのを可能にする企画を立てたから、一応見てもらいたいと思って。あんた昔から言ってなかった?」


そう語った彼女!




先ほど私が彼女に対して抱いていた思惑や言葉とは裏腹に、彼女のキャリアウーマンぶりに改めて尊敬の意を抱いた瞬間だった。


東京の経済学部・商学部など、観光ビジネスを学ぶ大学を卒業してから、旅行を通して地域を活性化させる事業の企画を含め、旅行代理店の職を手にしてきた彼女。


その様な中、「新しい企画を立案しても、すべて却下され、その上仕事がうまく行かず心が弱っていたとき、旅行に参加し、新しい場所に出逢う事によって、その土地や人から生きる活力をもらってきた」と少し酔っ払いながら熱く語る彼女。


確かに、「旅行」という商品は、目に見える商品ではない。その様な商品をいかに魅力的に企画し、全ての人に「心に残る旅」を提供する彼女の仕事に魅力や憧れさえ抱いた。




その後も彼女の熱弁は続く。


「実は…。私の親戚に、重度の障がいを持つ男の子がいたの。その子って、とても明るくて社交的な性格で、旅行も大好きで!海外に旅行した経験もあってさぁ!車椅子なんだけど!」


※障害の「害」は、最近「害する」の意味で捉えるものではないので、敢えて「がい」とひらがなで表します!


「へぇー!すごいじゃん!」


右手にハイボールが入ったグラスを持ちながら、それなりに聞いていた内容だった。




ただ、そこから彼女のキャリアウーマンぶりが更に加速していく。




「ねぇー!あんた聞いてんの?あんたも福祉の大学出てんでしょ?しかも、あんたも昔言ってたじゃん!少しは共感しないの!?」




「聞いてますよっ!福祉の世界は、とうの昔に離れているから!それで?」




「知ってる?今では、日本のバリアフリーは世界にも自慢できるけど、20〜30年ぐらい前は、まだまだバリアフリーの対策が行き渡ってなかったんだからね!そういった背景もあってさ!家族で一緒に旅行なんて、ましてや障がいがある人を連れて行こうなんて発想なかったの!」








その後、その親戚が亡くなったしばらく後に、「足腰が弱った方も連れて行ける旅行」をテーマにし企画を会社側に立案したようだが、需要やコストなどの面、彼女自身の知識の無さ、考えの甘さで棄却され、企画はそのままに消え去りそうになっていたようだ。




彼女は旅行企画のスペシャリストだ。10年も旅行代理業に携わり、儲かる為の企画構想や、卓越した知識があるはずなのに。


そんな彼女が、自信やプライドを捨て、再び一から学び直し、企画を立案しようとしている。


そんな場面に、相談でも提案でもいい、少しでも立ち会えて良かったとも思った。


この話を聞いて、私は「旅行企画を担当する者は、旅行先や宿情報も含め、企画全体としてお客様との橋渡しになるものや基準が必要だ!」と強く感じた。


彼女をはじめ、旅行企画を専門としている職種の方々は、お客様に旅行を楽しんでもらうために、できる限りの事をしようと心を砕いていると思う。だからこそ、お客様側も、自分たちや家族にどういったサービスが必要なのかを事前にしっかり相談し、準備を整える必要があると再度思わされた。


健常者も障がい者も高齢者も、全員が「この旅行に参加できて良かった」と心から思ってくれる旅行企画を立案できる企業を目指したい。


彼女はお客様の笑顔の為に、今後も様々な企画を模索しているようだ。


そこで初めて、冒頭に挙げた「行ける場所ではなく、行きたい場所へ」という彼女の言葉が理解できた。

実はこの言葉…筆者日下部が、遠い昔に口走っていた言葉でもある。

彼女の思いと私の考えがマッチングした瞬間だった。

それにしても、やはり彼女は、魅力溢れる企画の立案者であって、人があまり保持していないビジネスチャンスを持っていると思う。


障がい者や高齢者を偏見としてとった内容ではなく、全てのお客様が気軽に参加できる旅行企画を立案し、実際に保護者も被保護者、どちらもリフレッシュできる企画構想・施設整備の必要性に関して改めて興味深いと思った。




きっと彼女は、近いうちに、この企画を引っさげ、旅行代理業界に開拓者の一人として名を上げて行くであろう。


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