プロローグ
神社には神様がいると言われている。
千差万別。それこそ八百万いるとも言われている神様に、人間は色んなお願い事をしている。
学業成就、家内安全、出産祈願。
よくもまあ、あれやこれやと願いごとが思いつくものだと思う。
だけど、願いが叶ったなんて話を聞くのはごく一部の人間だけだ。
願い事が叶ったり叶わなかったりするのはもしかすると、願い事の数が多過ぎるからではないかと思わなくもない。
願い事を禁止する期間でも作って、神様がそれまでに溜まりに溜まった願い事達を叶えるようにすれば、願い事も叶うようになるのではないかと思うけど、それでも叶うのはど難しい。
人間の願いを同時に叶えるなんてことになれば矛盾が生まれるからだ。
例えば同業者である会社AとBが同時に一番儲けたいと願えば、どちらかは儲けることが出来なくなる。
となれば、願い事は失敗になる。
んでもってもっと言うならば、人間の願いに限界は無いから、結局のところ世界中の人たちの願いを叶えるということは難しいのだろう。
そんな事はどうだって良い。
僕、榊 業守が言いたいことはたった一つの些細なお願いである。
「働け。ビンボー神」