白魔道士ティナ
オーダーの町ではティナが白魔道士の集会を終えてちょっとオシャレなお店でハーブティーを飲んでいました。そこへシンが息を切らせてやって来ます。
「はぁ、はぁ……おい! ティナ! はぁ、はぁ……カイが大変なんだ!」
「シン、ちょっと落ち着いて座ってお茶でも飲んで」
ティナはシンに輪切りのレモンが入っているレモンティーを差し出します。
「ん、ありがとう」
シンはテーブルを挟んでティナの向かいに座りレモンティーを飲み始める。
「…………って! そういう場合じゃないんだ!」
我に返ってティーカップを置きテーブルに両手をついてティナの方へ身を乗り出す。
「だから、カイが大変なんだって!」
「ん? 何が大変なの?」
「カイの奴、狩りをしている最中にひっくり返って白目剥いて動きもしないんだ」
「動きもしない…………昨日、何か変な物でも食べなかった?」
「昨日の夜に村の食堂で新メニューのブルーオクトパスのカルパッチョとか言う変わった食べ物を食べてたような……」
「うん。きっとそれだ。食あたりね」
「えぇーっ、でも、イリーナが食あたりの丸薬を飲ませたけどカイはピクリとも反応しなかったけど」
「うーん、しょうがないなぁ。じゃあ、私が行って診てあげる。で、カイが倒れている場所はどこ?」
「ここから山を二つ越えた火竜の森」
「えっ! ここから山を二つって……隣村のニースにいるんじゃないの?」
「いやぁ……あははは……みんな絶好調だったんでついもう一つ山を越えて狩りをしてしまって」
「バッカじゃないの! 私行かない!」
「そんなこと言わずにさぁ〜、来てくれよ」
「私の姿を見てみてよ! こんなか弱い少女にこの馬鹿でかい鞄を抱えて山を二つ越えろって言うの⁈」
ティナはほっぺたを大きく膨らませて言った。
ティナの容姿は身長140センチで緑色のツインテールにした髪に緑色の眼フリルの付いた特注ローブにショートブーツという姿で、今で言うなら小学生の高学年か中学生っていう身なりである。
「だって、白魔道士はヒーラー、嫌しの人って言われるじゃないか」
「それを言うなら癒しの人! わかった。行くわよ! でも、その代わりに鞄はシン! あなたが運ぶのよ」
「もちろん任せとけって!」
そうして二人はカイとイリーナの待つ森へ行くため山の中に入りました。