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火竜の薬  作者: 深瀬 優
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火竜の森へ

 薬草、ポーション、白魔法、ファンタジーの世界では色々な回復方法があります。しかし、そういった薬の類いは使い方次第でとんでもない事になるっていうのはファンタジーの世界でも同じ事で…………




「おい! シン! お前、新しい剣を買ったんだってな」


 厳つい甲冑に盾と矛を持ったガタイの良い青年が鞘から剣を抜きその銀色に輝く刀身をうっとりとした目で眺めている幾分細めの体躯をした青年に声をかけながら近づいて来ます。


「おうよ! カイ! 見てみな、この素晴らしい輝きを……」


 シンはカイに新しい剣を手渡し、カイが剣に見入っている姿を見て自慢気な顔をしています。

 そんなカイとシンのところにもう一人、胸元が大胆にカットされ大きな胸がこぼれ落ちそうなローブを着たやけに色っぽい女性が近づいて来ました。


「シン、なかなか良さそうな剣を買ったじゃないの」

「イリーナか! そうだろう。これだったら二つ三つ上のレベルのモンスターでも倒せるって!」

「そうね。私もこの間レベルが上がって新しい魔法を覚えたのよ」


 そんな二人に刺激されてか、カイもまた自分の甲冑自慢を始めます。


「俺の甲冑も見てくれよ! そんじゃそこらの甲冑と訳が違うぞ。なんせ対魔法防御のコーティングしてあるオーダーメード品だぜ」

「そうだ! どうせなら今から狩りに行かない?」

「おー! いいねぇ〜」

「やってやるぜ」


 シン、カイ、イリーナの三人はニースの村を出て森の中へと足を踏み入れました。




 三人が足を踏み入れたのは火竜の森。


 鬱蒼と木々が生い茂っているのだが、エリアボスの火竜の所為なのか夏の炎天下ぐらいに暑い。


「楽勝! 楽勝!」


 三人はそんな暑さを気にすることも無くモンスターをいとも簡単に倒していきます。

 キラーラビット、ワーウルフ、ゴブリンなどなど……。


 二、三時間狩りをした位でしょうか、何やらカイの様子がおかしくなってきました。


「はぁ、はぁ……シン、イリーナ、……少し休まないか?」

「ん? 何だ? 俺ならまだまだいけるぜ!」

「私もMP余裕よ」

「い、いや……そうじゃなくて……」


 二人はカイの異常に全く気がつかないまま狩りを続けます。


 しばらくすると突然カイは仰向けにパターンと倒れてしまいました。


 それはそうです。この真夏のような熱気の中、二、三時間も重い甲冑を着て戦い続けたのです。甲冑の中は四、五十度にもなっていたでしょう。一般に言う熱射病と言うやつですね。


「カイ、もうここいらのモンスターのレベルじゃ弱すぎないか? ……って、カイ! カイ! 何処だ?」


 シンは辺りを見回しますがシンの足下でひっくり返っているカイの姿は目に入りません。


「おーい! あーここにいたか……おい! どうしたんだ! カイ! カイ!」


 ようやく足下にいるカイを見つけたシンは必死に声をかけますが、カイは白目を剥いたままピクリともしません。


「イリーナ! どうしよう? カイが白目を剥いてひっくり返っている!」

「ん? 何? あぁ、白目剥いてひっくり返っているのね。それは多分昨日食べた物が悪かったのね。これでも飲ませておけば大丈夫よ」


 そう言って腰に引っ掛けてあるバッグから丸薬を取り出しシンに渡しました。

 シンはそれを受け取りカイに飲ませます。


 一分、二分、三分…………。


 カイは治るどころかピクリともしません。当然です。カイは熱射病で倒れたのですから腹痛用の丸薬を飲ませても治る訳がありません。


「イリーナ! ぜんぜん起き上がらないぞ!」

「本当ね。困ったわね〜。ティナは今、白魔道士の集会で村に居ないのよね〜」


 白魔道士とはこの世界でいう医者の様なものです。


「で、ティナの行った白魔道士の集会って何処でやってるんだ?」

「えーと、ここから山を二つ越えた先にあるオーダーの町よ」


 近くの町だったらカイをおぶって連れて行くことも出来たでしょうが、流石に山二つシンよりも身体が大きい上に重い甲冑を着ているカイをおぶって越える事は不可能です。


「俺が行ってティナを連れてくる!」


 そう言うや否やシンはオーダーの町に向かって走り始めました。


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