表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファンタジーロボティクス  作者: 岡田 浩光
20/22

第二十話 学校見学3

 ロボとメリーベルはしばし茫然とした。

 お互い王都にいる事は知っていたがまさかこんな風に会うとは思ってもみなかったからだ。

 メリーベルはなんと言っていいか分からぬまま


「えっと、その・・・、久しぶり」

「ああ、うん。久しぶり」


 思いついたまま喋ってしまった。

 メイは見知らぬ少年とメリーベルの顔を交互に何度も見ると、全てを察したようでにんまり笑うと


「あ、どうやらお邪魔なようで。ダンはあたし一人で運ぶからごゆっくりー」


 そう言って、さっきまでの重そうな様子はどこへやら物凄い速さで医務室の方へ行ってしまった。


(変な所だけ勘がいいんだから)


 ロボがあっけにとられたようにメイの様子を見た後


「あれ、あの人、大丈夫なの?」

「え、まあ大丈夫でしょ。それより本当に王都に来てたんだね。ガウスさんが手紙で知らせてくれたんだけど信じられなかった。その服装を見ると今は王立工匠で働いてるの?」


 ロボはちょっと照れくさそうに、しかし、誇らしげに


「うん、まあ雑用係みたいなもんだけど」


 と答えた。

 そんな様子のロボは見たことがなかったのでメリーベルは驚いた。村でのロボはいつもどこか憂鬱そうで自分に自信がなさそうな様子であったが久々にあったロボはなんというか目が輝いているように見える。

 でもそれは私も同じかもしれない。

 あの身分のうるさい、煩わしい小さな村から広い世界に飛び出しやっと目が覚めたような気がしていた。


「すごいね。王立工匠は本当に優秀なクリエイターしか入れないって聞いてるよ。一体どうゆう経緯で王立工匠に入る事になったの?」

「えーと、それはね」


 なんて説明しようかロボが考えていると。


「あれ、君たち知り合いなの?」


 キースが二人の会話に割り込んできた。とたんにメリーベルは緊張した面持ちとなる。


「はい、幼馴染なんです。二人とも王都に来れることになって、今日偶然会えたんです」

「へー、そりゃあすごい運命を感じるね。しかし、聞いたかい彼はなんと王立工匠で働いているらしいよ。この年で。いやあ、ほんとすごいよ」


 ロボはこんなに手放しで褒められたことがなかったのでなんだかこそばゆい感じがした。


「ええ、本当にすごいですよね、私もびっくりしました。でも、キース団長こそ最年少で騎士団の団長になられたではないですか」


 メリーベルはうっとりしたようにキースの方を見てそんな事を言った。なんだか、ロボは面白くなかった。なぜだかは分からなかったが。


「へー、騎士団長ってそんなにすごいんだ。全然知らなかった」


 ロボは思わず嫌味のこもった言葉が口からでた。

 メリーベルはロボの失礼な言動に色をなくした。


「何言ってるの、ロボ!王国騎士団団長といえば騎士として最高の位だよ。ロボだって王立工匠団団長のこと尊敬しているでしょう?」

「うん、まあでも王立工匠団長は一人だけだけど騎士団長は何人もいるからね。王立工匠でいうなら博士みたいなもんじゃない」


 メリーベルの必至の弁護をこともなげにほっぽりだすキース。ロボはますます気に食わなかった。

 実際には騎士団長は11人しかおらず、博士とは比べものにならない称号であるのだが。その事をロボは知るはずもなかった。


「さあて、そろそろ帰るか。ほら、ロボお迎えが来たようだよ」


 キースがそう言って指さした方を見ると、カルノーがこっちに向かってきていた。

 カルノーこちらについてキースに気が付くとにわかに驚き丁寧に挨拶した。


「初めましてキース団長、私は王立工匠の博士カルノー・ジョバンです。本日はこちらの設備の点検に来ました」

「おお、初めまして。キース・オルドレートです。わざわざ、博士が来てくれるとはご苦労様です。これからもどうぞよろしく。」


 そんな感じで簡単に挨拶をすませるとキースはどこかへ去って行った。

 カルノーは辺りを見渡すと


「こんな所見たかったのか、ロボ。なんもねえぞ」

「いえ、あのひとに無理やりここに連れてこられて」


 ロボのそんな言い訳を聞くと、カルノーは苦笑して、それは災難だったな、と言った。

 ロボは改めてメリーベルに向き合った。


「それじゃあ、僕も帰らないと。こっちに来ていること伝えれなくてごめんね。また、こっちから手紙をだすよ」

「うん、もっとゆっくり話したいけど仕方ないね。忙しそうだし。またね」


 カルノーはいいのかと気を使ってくれたが、メリーベルが王都にいるならまた会えるだろう。

 こうして、ロボの学校見学は終わった。魔法、王都最強の騎士、色々な経験ができた。もっと見たいものっがあったがまあ仕方がない。


 ***


 ロボはキースに会って、メリーベルが彼に見とれていたときから決意したことがあった。

 それにはまずカルノーに聞きたい事がある。


「カルノーさん、ちょっといいですか」

「ん、なんだ」


 ロボはこんな質問をしたらカルノーにまた小言を言われると確信していたが聞かないわけにはいかなかった。


「カルノーさん、僕が博士になるにはどうしたらいいですか?」


 その時のカルノーの顔は意味不明、呆れ、聞き間違いか、など色々なものを表現していた。


「何言ってんだお前、まだ王立工匠の足手まといでしかねえのにそんな馬鹿まるだしのせりふ吐いてんじゃねえよ。百年はええ」


 想像通りけなされたがロボはひきさがらなかった。


「馬鹿な事なのはわかってます。それでも、なりたいんです。教えてください」


 そのロボの必至な様子を見たカルノーは表情を変えた。しかし、変化したその表情はどこか同情するようなまなざしが含まれていた。


「あのな、ロボ。それは無理だ」

「難しい事はわかってます。それでもなりたいんです」

「違うそうじゃない」


 カルノーはため息とともに語った。


「あのな、博士って称号は王立工業学校において優秀な者と他の博士から認められた者に与えられる物なんだ。そういう決め事があるのさ。お前がどんだけ優秀だろうと学校を出てないと無理なんだ。分かるな」

「・・・そんな」


 ロボは久しぶりにこの類の失望を感じた。王都に来て忘れていたものが蘇ってきた。

 結局平民には出世のチャンスというものが存在しないのかもしれない。

 カルノーはそんなロボの気配を察してやれやれといった感じになった。


「ロボ、いいかよく聞け。博士なんてただの称号だ、そりゃああるていどの能力の証明にはなるが所詮はそれだけだ。あろうがなかろうがお前はお前だ。それでいいだろ、なんでわざわざそんな肩書きを欲しがる」

「あの騎士団長に勝てないからです」

「はあ?なんじゃそりゃ。あんな奴に勝たなくていいだろ。大体なんの勝負をしてるんだ」

「勝負はしてないですけど、とにかく負けるわけにはいかないんです。何か手はないですか?」


 カルノーは呆れながらもそうだなと腕を組んで考えてくれた。そして、ああそういえばと何かを思いついた。


「王立工匠で新人にチャンスがあるとすればあれだな、新人研究発表会だ。うちに入って三年目までの奴らが自身の研究について発表するんだ。一応優秀者なんかも決めて選ばれたら研究費という名目で賞金もでる。これぐらいかな、でもお前には」

「それはいつですか?教えてください!」


 ロボは食って掛かるようにカルノーに問い詰めた。カルノーは面食らいながら


「今から半年後だな。でも、正直お前には無理だと思うぜ。研究テーマを持ってるわけでもないし、ましてや半年後に発表できる結果がだせるとは思えん。他の奴らは最大三年間は研究してきたんだからな。悪い事は言わんから今は勉強に専念しろ」

「別に出るのは自由なんですよね。勿論、毎日の仕事もこなします。構いませんよね?」


 今度こそカルノーは完全に呆れかえって


「けっ、勝手にしろ。忠告はしたからな。言い出したら聞かない所がオイラーさんに似てきたな。面倒を見る俺の身にもなってみろ」

「はい、これから色々相談させてもらいます。よろしくお願いします」


 ロボは自分でもなぜあの騎士団長と張り合おうとしているのか、果たして研究発表会で優秀者に選ばれることが彼に勝つことになるのか、何も分からないまま勝つ見込みのない勝負に打って出る事にしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ