表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
かけがえない物  作者: ひだまり
5/21

愛されながら

ガンの宣告を受けて一週間、自分は病院へ行くのをやめてしまった、病院へは次の来院予定だった日に、体調が思わしくなく熱が下がれば来院すると連絡を入れた



どうしても生きる為の治療など、受けたくなかった、我が子を殺したおかげで発覚した病気、それをいいことに生きようとあがく事が見苦しく感じた



恋人との初めての、過ごした夜を思い出す



恋人はキスが大好きだ、恋人は自分の体中、もうどこにも知らない所なんてないくらいにキスをして、また唇に戻ってくる



自分はその心地良さにどんどん引き込まれて、すっかりほぐされきった体を任せる



自分の名前を呼びながら、指を絡めて手を繋ぎ、ゆっくり自分の中を動く恋人の顔を見つめる、きれいな顔立ちに見とれていたらまたキスされて、殆ど夢見心地になる、恋人のぬくもりも、そろそろ終わりを告げる声も、もう全てが欲しくなって愛しくて、抱きしめる



「子供ができたらどうするの?」



と聞いた事もある、恋人は迷う事もなく、「育てるよ」と答えた、何も迷わず



自分を抱きしめて動かなくなった恋人、恋人も動かないから自分も動かない、そのまま体中繋がりあったまま、また自分達はキスしたり髪を撫でたり、しばらく戯れる



恋人は何も変わらない、あの頃から今日まで、一貫して何をしている時も自分に優しい、あの子はそうやって、恋人に愛されながら出来た子供だった、「愛の結晶」とは、まさしくあの子の事だ



また涙がとまらない、自分は本当に、何ていう事をしでかしたのだろう、どうして産まなかったのだろう、後悔だけが胸を占め、あの子と恋人への罪悪感で狂いそうになる



恋人はまだ、自分の病気の事は知らない



















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ