償う方法
目が覚めてまず脳裏をよぎるのは、殺してしまった赤ちゃんの事、そしてしばらくは涙が止まらず、恋人に悟られない様に、起こしてしまわない様に声を殺す
体の不調は仕方がないとして、気持ちの沈む姿は、恋人に見せないと決めていた
自分が落ち込んでいたり傷付いている姿を見れば、あの優しい恋人は、恋人自身を責めるだろう
自分が決めた事だ、恋人は最後まで、二人の子供を守ろうと説得していた、あの子が死んだのは、自分のせいだ、何を言おうと赤ん坊は自分のお腹にいたのだ、あの人に、説得以外に何ができたろう、逆に言えば、あの人が反対した所で自分さえ産むと決めれば、結果は変わっていた
今日は恋人も自分も休みの日だ、恋人はまだ寝ていて、普段眠りにくい恋人にしては珍しく、もうかれこれ12時間以上眠っている
恋人も悩んだ事だろう、心の闇は、他人には計り知れない事だ、もしかしたら恋人だって、産まないと決めた自分を気遣って、ツライ気持ちを隠しているのかもしれない、一緒に泣けたのならばその方が良かった、けれど自分達はまだ、そこまでの絆はない様だ
現実のツライ気持ちから逃れるには睡眠が一番だ、これ程心身共に休まれる方法もない、不眠気味の恋人には、眠れるだけ眠って欲しい
恋人の寝顔を見つめながら、あの子が生まれていたのなら、この人にどう似ていたのだろうか、どんな笑顔を自分に向けて、どんな自分らしさで、自分と恋人を困らせただろうと考える
産みたかった、会いたかった、恋人と二人で、あの子の将来を喜び守りたかった、涙は止まらずまた一歩、決意が固まって行く




