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夏生詩集2

失われた色彩

作者: 夏生

あの日


テレビに色がなくなり


音楽が聞こえなくなりました


そのことに気づくまで


時間がかかりました



不安なんて


悠長なものでなく


日々、息つく間もなく


生と死を迫られ


迷いなんて


悠長なものでなく


日々、かき回され


断たれ救われ


また断たれ



取り残された感情は


迷子のように


泣いていました



薄い泥色の世界


白煙たちこめた空



悲しみ、なんて


優しいものでなく


止まってしまった時間


止まってしまった日常


に、うなだれ


無表情な色の世界に


成すすべなく


飲み込まれていました



誰が気づいたのでしょう



テレビから春の歌とともに


鮮やかで眩しいほどの色が


溢れてきました



何事もなかったように


春はきました


色とりどりの花咲いています


と、軽やかな歌声



ああ、色だ、歌だ!


画面に飛びついて


声をあげて泣いていました


飢えは食べ物だけではなかった


色を貪りながら今が春だと気がついて



色ある世界がどれだけの恵みだったのか


あれほど噛み締めた日はありません










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