小の決意
小の決意
――雄太、黙ってやる――
父の言葉を、
雄太はずっと覚えていた。
小の決意。
転属願い。
成功法則を、
会社に言わずに実行する。
「言わない」が、大事だと。
■ きっかけは、雑用
雄太が任されていたのは、
佐久間塾の教材整理だった。
誰も見ない。
評価もされない。
紙は重く、
棚は高い。
「これ、順番おかしくない?」
気づいたのは、
ほんの小さなことだった。
■ 言わずに直す
普通なら、
先生に言う。
「ここ、変えた方がいいですか?」
でも、父の声が浮かんだ。
「小は、言わない」
雄太は、
自分のノートを作った。
・生徒が詰まるページ
・質問が多い箇所
・書き込みが多い行
それを基準に、
教材の順番を少しだけ変えた。
誰にも、言わずに。
■ 最初の失敗
次の授業。
質問が、逆に増えた。
先生が首をかしげた。
「今日は、やけに引っかかるな」
雄太は、
何も言えなかった。
その夜、
家で泣いた。
「やっぱ、言えばよかった」
■ 続ける理由
でも、
元に戻さなかった。
理由は単純だった。
「途中だから」
一日で結果が出るなら、
それは小じゃない。
次の授業。
その次。
質問は、
少しずつ減った。
生徒が、
自分で答えを探す時間が増えた。
■ 気づかれない成功
三週目。
先生が言った。
「最近、この教材、
使いやすいな」
それだけ。
誰も、
雄太の名前を出さなかった。
でも――
雄太は、嬉しかった。
■ 父への報告
父には、
後で話した。
「言わないで、
ちょっと変えた」
父は、怒らなかった。
「どうだった?」
「最初、失敗した」
父は頷いた。
「それが、小だ」
■ 小の本当の意味
父は、静かに言った。
「小の決意はな、
自分の責任が、
自分に返ってくる決断だ」
評価も、
感謝も、
全部、無い。
それでもやる。
雄太は、その意味が分かった。
■ 雄太の変化
それから雄太は、
黙って改善する人になった。
でも、
独りよがりにはならなかった。
結果を、
ちゃんと見る。
ダメなら、
戻す。
それを、
当たり前にした。
■ 桃子の視点(短く)
私は、横で見ていて思った。
雄太は、
父に似てきた。
派手じゃない。
でも、
壊れない。
■ 結論
雄太は、
世界を変えなかった。
でも、
自分が立つ場所を、
少し良くした。
それが、
小の決意の完成形だった。




