A - 追放、追放、追放……
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「私たち……別のチームに所属したほうが、いいんじゃないかな…?」
そう提案してきたのは、レインだった。
「私たちって、みんな補助の魔法が得意でしょ?みんな一緒にいても、持て余しちゃうんじゃないかな、って…。」
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幼い頃からずっと仲良くしてきた仲間と離れるのは、正直言って心細い。
だが…。僕も薄々感じていたように、レインの言うことも否定できない事実だ。
魔王を討伐する。この目標さえあれば、いずれまた、合流することはできるだろう。
「最近、仲のいい他のチームも増えてきたし、悪くないかも。ここは一旦、それぞれ手分けして目標に進むことにしよっか!」
「「「賛成!」」」
幼いころからの仲間だからこそ、むしろ安心して違う道を歩ける。いずれこの道は、どこか同じ場所で交わるはずだから。
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「クビだ。」
「クビ。」
「明日から来なくていわよ。」
「追放だよ追放。」
…僕のその後の旅路は散々だった。
様々なパーティに編入したが、どこも長続きはしない。
中途半端に名前が知れ渡ってしまっていたからか、期待外れの僕の活躍を見て、すぐに見限る者が多かったのだ。
また、資金面も理由の一端だった。
僕はルナやほかの呪いの被害に遭った故郷の仲間のために、収入の一部をその援助に充てている。
そのために、身の丈よりも少しだけ実力の高いチームへの編入依頼を主に行なっているのだが…。
命をお互いに預かる関係上、中途半端なメンバーを留めておくのはお互いのためにならない。
だが、資金面やチームの実力を妥協してしまっては、目標から遠ざかっていくのみだ。
そんなジレンマを抱え…。結局、僕は色々なチームを転々とするしかなかった。
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対照的に、グレンたちは各々順調にいっていた。
はじめは能力がチームに合わず、うまくいかないことも多かったようだ。
だが、今では風の噂が流れてくるほどに、それぞれその名を轟かせていた。
僕は自分の生活さえままならないような時には、彼らに頼りきりになってしまっていた。
「お前は勇者にはなれない」
…たった一言が、脳内で反響している。