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一寸先は闇






その後は……あるいは、僕が入る前からそうだったのかも知れないが、「勇者」パーティは目覚ましい成果を挙げていた。



さまざまな地域へと足を運び、問題となっている事案の解決や魔獣などの討伐を行いつつ、協力者を集めるなどして着実に戦力を高めていた。



…彼らの作戦行動は、佳境に迫っている。



僕が加入したタイミングでは、すでに世界各地に仲間を持ち、魔王討伐に向けた盤石の体制を整える最終段階にいた。



かれこれ二年ほど行動を共にしているうち、目標達成に対する期待は最高潮に達していた。



半年後。満を辞して、僕らはついに、魔王との最終決戦へと向かうのだ。









「やっと会えた、アレフくん。お友達が、きみに会いたいって。」



いつも通り、ギルドの施設で仲間たちと談笑していると、事務職員の女性が焦った様子で話しかけてきた。



…グレンたちとはここ二年間、全く接することなく過ごしてきた。



今更、会いたくないなんて子どもじみたことは言わないが、気まずさがあることは確かだ。



少し足取りが重いが、言われた場所へと向かう。







そこへ着くと、グレン、レイン、セイナの三人が、準備万端といった様子で待っていた。



まずはじめに謝罪から入ろうと思っていたのだが、出鼻を挫かれてしまった。





「…行くぞ、アレフ。」



僕が到着したことに気づくとらグレンが地面に置いていた荷物をまとめ始め、一言だけ発した。



「いや、待ってくれ、急にどうしたんだ?」



…少しの間、僕たちを空が押さえつけるような空気に包まれた。



レインが、ほんの三文字だけ絞り出す。



「……ルナが…。」



セイナはずっと左斜め下を眺め、グレンは額に手を当てて俯き、レインはローブの裾を握りしめていた。



僕の右肩から、バッグが滑り落ちる。

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