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和多都美学園の七騎士団  作者: 諸伏優
和多都美学園へようこそ
3/6

参 初めて見る景色

「もうすぐ港に着きます。もうしばらくお待ちください。」


大きな塀に囲まれた孤島に皆恐れをなしている様子だった。

何故か興味津々な虎男、妙に落ち着いている琥珀。

生徒会長は二人に目を付けていた。


「玄義…」

「あぁ、今年の逸材を見つけたぞ。」

「…きっと戦力になるな。」

「その通りだ。」


大きな塀に施された船の通り道、入学式と卒業式そして週に一度の配達の時のみ開かれるとされる鋼鐵の門。

開かれる瞬間、皆同じ恐怖感を覚えた。


「「ようこそ、我らの和多都美学園へ。」」


港に各寮の寮長が並んで出迎えてくれている。

皆、窓に釘付けになっていた。


「女子寮の寮長はどこだ!」

「噂のボイン寮長!」

「海人センパイ!!」

「海人センパイだっ!」


憧れの人が居るか皆血眼で探しているが、

麗しの女子寮長はいなかった様子。


「落ち着け。女子寮の寮長はまだ来てないぞ。」


生徒会長の言葉に皆この世の終わりのような反応をしていた。


「どういうことだよ!!」

「この世の終わりだ~!!」

「麗しの寮長!!」


今年の女子の入学式はなかったらしいからいらっしゃらないのは当然だろう。

1、2、3、4、5…あれ?もう一人居ない…?


「どうやら寝坊したらしい…円満が迎えに行ってる」

「全く…」


入学式には寮長達全員が参加しないといけないのだろうか…。


「琥珀…ヤバくねぇか?」

「何が?」

「女子の寮長いない状況でこの坂登るとか…」

「あ…」


女子の寮長が居ない状況でこの新入生達は急な坂を登ることになったとしよう。間違いなく全滅だろう。


「この坂の上に女子寮の寮長がいるぞ!先に行くらしい!」

「「うぉぉぉぉっ!!」」


生徒会長の言葉に皆駆け足で坂を登った。

コイツら…煩悩まみれかよ…。


「女子寮寮長殿はどこだ?」

「お前も煩悩かよ!」

「何?!貴様っ!!」

「あんだよ?!やんのか!?」


寮長同士で喧嘩になったようだ。

他の寮長達はそのまま歩き続けた。どうやらこの二人の喧嘩は日常茶飯事のようだった。


「さ、行こうか。」


生徒会長は凄く落ち着いている。



坂を登りきるとそこには大きく立派に構える校舎だった。


「和多都美学園へようこそ、新入生の皆様方!」

「円満…声がデカい。うるさい。」


校舎から手を振るのは忍耐の狼《Wrath》寮の寮長だったらしい。

そのとなりには女子寮の寮長ではなくハート型に目がついている不気味な浮遊物体だった。


「新入生の諸君、入学式は体育館で行われるから不動副会長の案内に従って受付を済ませて置くように。」


そう指示を出し、生徒会長はどこかに移動した。


「おいリュー!僕の受付もしといてくれよ!」

「はいはい、全くヨゾラくんは仕方ないな~。」


おそらく女子生徒と間違われたであろう生徒は傲慢な態度で取り巻きの男子生徒を使っていた。


(こんな場所で...楽しく生活できるのかな…)


渡ってきた海、登った坂道…琥珀は不安な気持ちを抱えていた。

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