二十六話 ヘカーテ VS 地球防衛軍(2)
第五防衛隊のカダ司令官はヘカーテのレーザプラズマ砲の分析データをモニタに映していた。
「第一防衛隊の被害担当機が撃たれたレーザもすごかったが、うちが受けたプラズマはもっとすごいな……」
地球軍では星群の探索機に対してまず相手の戦力を探るため、無人の被害担当機を先鋒隊として当てることを基本戦術としていた。
地球衛星軌道では第一防衛隊の被害担当機オルキスがヘラのパルスレーザによる衝撃波で内部をズタズタに破壊された。第五防衛隊の被害担当機はカラキアスという名前で、オルキスよりも防御に特化した性能を有していたが、監視画像ではレーザプラズマ砲が一秒程度当たっただけで外壁が爆散していた。
「第二の戦闘機はこんなレーザに向かって突進するのか……。無事を祈ることしかできんなぁ。」
カダの両手は薄っすらと汗をかいていた。
◇
「第五防衛隊の戦闘機カラキアス、安全圏まで無事に撤退しました。当隊が作戦通りに攻撃に入ります。」
副官レイコの声が司令室内に響く。
「作戦司令部から目標ヘカーテの内部構造について分析結果が届きました。戦闘機スパイダー及びグレビレアと情報を共有します。」
鹵獲したヘラの分析結果とカラキアスの解析データを照らし合わせ、ヘカーテの武装や性能、そしてコクピット位置の予測がされた。ヘカーテは撤退に入った第五防衛隊を深追いせず、敢えてこちらから動くのを待ち構える作戦のようだ。同じような状況で全速離脱したヘラとは異なり、ヘカーテは巡航速度で周りを囲まれない方面に動いている。やはり人が操縦しているんだな、とササは感じ取った。ならば波木にすべてを任せる。
「レイコくん、舞台は整った。波木にあとは任せたと伝えてくれ。」
「了解しました。第二防衛隊、作戦開始します。」
◇
「あのプラズマ、すげぇ威力だな。しかも射程が長い。こっちのヴェノマスレーザと同じくらいありそうだ」マツヤがヘカーテの戦闘画面を見ながらつぶやく。
「うちのヴェノマスは機首を相手に向ける必要があるが、ヘカーテはアームを向けるだけで済む。その点で分が悪いかな。しかもこっちは一門なのに向こうは八門、ちょっときついね」トーリも同意を返す。確実にヘラより厄介な相手と言えた。
「ちょっとどころか、相当きついな。まぁ負ける気はないけど」強気の発言だが、正直マツヤの心情としては少々自信がなかった。ただそれは絶対に口にしない。それにヘラの時とは前提が違っていた。
「でもまぁ、こっちは波木さんだからな。」




