表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/19

19話 『旅立ち』

 「あいつ妙に張り切っていたな!それほどキノ先生ってやつが気になるのか?」

 

  その場に残っているレイジが言った。あんなに張り切ってるリューヤを見たことないらしい。

  クレスは外を見ながら反応した。


  「自分の知らない人が魔法にかかってるかもしれないからね。リューヤは知り合いにしか魔法をかけてないでしょ?ナギト君だけは例外だったけど。」

 「ナギト以外に誰にかけたんだ?俺は全く知らないんだが。」

 「確か…リューヤの家族と、メネにも魔法をかけてたよね。」

 「メネって確かクレスのいとこにあたる人だったな。メネの妹は今ナギトと同い年か?」

 「そう。ユメナは15歳で今日卒業したんだ。」

 「そうか!それはめでたいな!」

 「彼女はこの国が好きだから、戦術士になってこの国を守るんだって。ほんと成長したよ。」

 「戦術士か!頑張ってほしいな!昔の俺たちみたいに。」

 

  話はいつの間にかリューヤからユメナに脱線した。2人ともそれに気づいていない。


  学校までの距離は3kmくらい。普通に歩けば40分くらいかかる。直線ならもう少し短かっただろうが、何回も曲がったりして面倒くさい。

  ただ、リューヤの移動経路は空だ。邪魔する建物も急な上り坂もない。さらに飛んでる人なんて誰一人いない。この国に浮遊術を使える戦術士はほぼいないからだ。

  どれだけスピードを出しても問題はない。本来浮遊術で高速移動するのはかなり難しい。スピードの調節や体のバランスを考えないと動くことすらできないからだ。リューヤはたった数週間でそれを使いこなすことができた。天才なのか偶然なのか、それは本人のみ知っている。

  

  2分ちょっとで学校に着いた。いきなり中に入ると不法侵入とかになるため、近くの森に降りた。こんなところ近づく人はいない。空から降りてきても目立たないのだ。

  校門まで来たが、学校の敷地には誰もいない。明かりも消えてるところが多い。

  

(ちょっと遅かったか?誰一人いねえな。)

 

  中を何回見てもひとりもいない。てか剣をもってフードを被った男が校門の前にこんな時間にいるとか通報案件だ。

  明日にするか、と帰ろうとしたとき背中に何かがぶつかった。

  

 「ん?なんだ?」

 

  振り返るとリューヤより少し小さい少女がいた。手には多くの本があり積み重なっていて前が見えにくかったのだろう。

  

 「あ、すみません。ここじゃ邪魔でしたね。」

 「いえ…。私の不注意なのでお構いなく…って、リュー…ヤ…さん…?」

 

  その少女は目を丸くしてリューヤを見た。相当驚いてるように見える。

  リューヤも驚いた。まさかばれるなんて。


(フードしてるのにばれた!?やべえな。面倒ごとになる…。)

 

  立ち去ろうと一歩下がったとき、その少女は焦って本を地面に置いた。

  そして目を輝かせて


 「本物ですよね!?私リューヤさんの大ファンなんです!まさかこんなところで会えるなんて!あ、私、ここで先生をやってる『朝山キノ』といいます!」

 「……は?」

 

  想像してたのと違かった。てっきり通報されるかと思った。

  

 (なんだこいつ。てか『キノ』?クレスさんの言ってたやつと同じ名前か。制服ではなくスーツだし、多分こいつか。俺のファンだって言ってるし間違いねえ。)

  

  全盛期は町歩くだけでたくさんの人に声をかけられた。多くに人がファンだとか応援してるとか言われたりもした。ただ、殺害があってからこの国には一切近づいてないし、ほかの国に行ってもフードを被って身を潜めていた。

  久々に尊敬されるのも悪くない、とリューヤは感じた。


 「お前、先代国王について知っているか?」

 「…え、先代国王ですか?知ってますよ!あの少し髭の生えた方ですよね!今どこにいるのかは知りませんが…。」

 

  ナギトと同じようなことを言った。記憶がなくなってるのは確実だろう。ただ、やはりリューヤはこの人を知らない。ただ、疑問に思ってることはある。

  

 (気がかりなことがある…。1つは声。思い出せそうだが思い出せない、そんな声だ。間違いなく昔に聞いたことがある。もう一つは、キノという名前。どこにでもいそうな感じだが、何か引っかかる。何だ…。何に違和感を持ってるんだ…?)

  

  何かに疑問を持っているリューヤ。キノ先生はそんなことに気づかず、話しかけた。

 

 「そういえばリューヤさんが教えたナギト。彼はこの学校首席で卒業したんです!本人もリューヤさんがいなければできなかった、と言ってました。本当にナギトを教えてくれてありがとうございます!!」

 

  ペコリ、と小さく頭を下げた。リューヤは驚きつつも平常な声で反応した。


 「そうか、主席か…。さすがだ…。」

 「あれ?ナギトから聞いてないんですか?リューヤさんにも会いに行く、と言ってたんですけど。」

 「……。」 

 

  あいつは俺に主席だって言いたかったのだろう、と考えると余計心が針で刺されるように痛くなってくる。

  それでも嘘をつき続けることはできないだろう。たとえ、どんな結果になろうとも。

  ナギトは先代国王を尊敬していた。真実を話したらどうなるか分からない。

 

 「あいつは明日、レベアルに行くんだっけか?朝は早いのか?」

 「明日というか、今日の夜中ですね。12時ちょうどにここを出発します。それに備えてもう寝てると思いますが…、もしかして夜中に会いに行くんですか!?」

 「いや、別にそういうわけじゃねえんだが。夜中に出発ってことは、あそこに着くのは4時くらいか…?」


  4時といえば朝なのか夜中なのかよくわからない時間帯だが、この時期は外が真っ暗だ。日が昇ってくるのは5時30分くらいなので周りがよく見えない。

  レベアルは小さめの町だが治安があまりよくない。まだ15歳のガキで零術魔導士とばれると目立ってしまうため、襲われたりするかもしれない。

  そんな親目線になってリューヤは少し心配した。

  

 (いや、別にあいつ強いしそこは何とかなるだろ。まずなんで俺が心配してんだ?)


  学校側から鐘の音が鳴った。門限の合図だ。敷地内に入らないといけない。

  キノ先生は焦っておいていた本を持った。

 

 「それじゃ私はもう時間なので…。最後に一つ聞きたいんですが大丈夫ですか?」

 「人に聞いてる場合か?俺は別に大丈夫だけど。」

 「リューヤさんは今、どこで活動してるんですか?まだ、昔活動してた『ロイファンド』?って国ですか?」

 「いや、今はどこにも所属してねえ。自由に世界を動き回ってる。」

 「それなら、レベアルに行ってみたらどうですか?今前の騒動で戦力がかなり不足してるらしいですよ。」

  

 レベアル、か。考えてはなかったが案外いいかもしれない。今年のウォールト学院の戦術士がいるから教えることができる。フード被ってればいいし、人に教えるのは結構好きだ。

  

 (それにユキジさんはまだレベアルにいるはずだ。人見知りだがあの人がいればなんとかなる。それに…。)


 「少し考えとく。いつになるかは分からないが。」

 「そうですか!リューヤさんがいるとナギトも安心すると思いますし、戦力も大幅に上がります!それでは私はここで。さようなら!」

 「おう、じゃあな。」

  

  キノ先生は学校内に走っていった。

  その時ちょうど鐘の音が鳴りやみ、自動で校門が閉まった。

  あたりは暗く、かなり静かだ。人の歩き音も聞こえてこない。

  行動するなら早い方がいいい。

  

  急いで通信機を取り出し、リューヤはクレスに電話をかけた。

  出るまで時間がかかると思っていたが、10秒くらいでつながった。

  あっちからは眠いような小さな声が聞こえてきた。

 

 「…もしもし。キノ先生と話せたのかい?」

 「ああ、話せました。面白かったですよ、いろんな意味で。」

 「そうかそうか。それで、要件は何?」

 

  そうだ、その女のことがメインじゃない。要件があるんだった。

 

 「俺、思い出したんです。自分の道を――。」

  

  長々と話した。周りに誰もいなくてよかったとリューヤは何度も思った。

  

 「本当にいいのかい?僕は否定する気はないけど、少し無謀というか無茶な感じはするね。」

 「大丈夫です。今度こそ俺はこの国のためにすべてを尽くします。」

  

 

  夜の12時、いや0時か?どっちが正解なのだろうか。

  とりあえず。そんな夜中にナギトは外に出た。

  夜中特有の空気が肌を包み込む。いつもなら夢という名の世界にいるはずだが今日だけ特別だ。

  レベアルは外に人がほとんどいない時間に行くのがいいらしい。

  しかし、この時間は睡魔がものすごく活発だ。歩いてるのに眠気が消え去らない。

  馬車で4時間かけていくので、その中で寝よう。

  

  しかし、プルテールの門まではかなり遠い。

  今戦術士になった人全員と付き添いの名前の知らない先生で向かっているが、みんな歩くのが速い、速すぎる。

  普段でもついていくのが大変だったと思うが、今は夜中。ナギトにとって最も動いてはいけない時間帯だ。そんなときに長距離移動とか、着くまでに倒れそうだ。

  さらに戦術士の杖も持っている。なぜみんな平気なのか、一生かけても理解できない。

  

 「ナギト眠いのか?なんで早めに帰って寝てなかったんだ?先生も寝てろって言っていただろ。」

 

  ド正論をクロスが言ってきた。返す言葉が見当たらない。

 

 「いや…そうだな。確かに寝てればよかった。いやでも別れた後、すごいことが起きたんだぞ!知らない人が闘技場にいるし、零術魔導士だし、殺されかけるし…。」

 「ああさっき言っていた吸収魔法の人か。ほかの零術魔導士に会うなんてすごい幸運だぞ!よかったじゃないか。」

 

  死にかけて何が良かったのか。でも確かに豪運だ。零術魔導士は人生で会えるか分からないくらいの確率だし。

  そういえば、クロスにあの事言ってなかったな。

 

 「実は零術魔導士に会うのは、これで2回目なんだ。つまり、俺含めてもう3人は知っている。ちょうど半分くらいだ。」

 「マジ…!?どうなってるんだ一体!?すごい確率だな…。それは何だ?今度は毒か?」

 「いや、俺と同じ電気。俺と比べ物にならないくらい強いと思う。」

 「電気か…。もしかして補修はその人に教えてもらったのか?」

 「正解だ。なかなか勘が鋭いな。だからすぐに電気を使いこなせたんだ。」

 

  話していると少し眠気は消えた。眠気がなくなると行きの馬車が暇になるため、適度な眠気が必要となる。

  それに杖の重さも気にならなくなってきた。前の学校の杖を持つと、軽すぎると感じるだろう。

 

 「あれ?国王を殺した人も電気魔法使ってなかったか?なんかそう聞いたことがあるんだが。」

 

  心臓がドキッとした。左手の杖が急に重く感じてきた。

  実際寝ているときも夕食を食べてるときも忘れなかった。いや忘れることができなかった。

  

 「その人の名前は何だ?」

 「名前…、確か小野リューヤって感じだったはずだ。ナギトもその名前くらい聞いたことがあるだろ?」

  

  小野リューヤ。やはりその名前か。

  つまり、あの人が殺したのは事実だ。偽りではない。

  でもなんでそんな大きな出来事を一切知らなかったのか、それが疑問だ。

  

 「俺さ、そのリューヤさんに補修を教えてもらったんだ。」

 「ほんとか!?大丈夫だったか?殺されたりしなかったか?」

 「ああ、そこは大丈夫だ。普通に教えてくれたさ。」

 「てかよく逃げなかったな。昔あんなことしたから何されるか分からないぞ。それに先生もよく許可したな。」

 「…クロス。俺にはなぜかリューヤさんが国王を殺した記憶がない。本当にそんな出来事はあったのか?教えてくれ。」

 「記憶がない??ずっと町でニュースになってたのに…あれでも確か、あの事件が起きたとき、ナギトは入院した日と同じだ。覚えてるか?意識がなくなって倒れた日のこと。」

 

  それは記憶にあった。12歳のある日、町を歩いてると急に意識がなくなったはずだ。病院に運ばれて2日間くらい寝てたけど、結局何も体に異常がなかった。

  そう言えばなんで意識がなくなったんだ?誰かが近づいてきて…。

  思い出そうとすると頭が痛くなってきた。


 「そうか、あの日なのか。だから記憶にないのか…。」

 「あれは何だったんだろうな。学校に何日も来ないから心配してたぞ。」

 

  これで疑問はなくなったように思ったが、また新しい疑問が出てきた。


 「俺はそのころのリューヤさんについて記憶がない。どうしてあの人は国王を殺したのに死刑にならなかったんだ?」

 「それは正直今でもわかっていない。ただ刑を決めたのは今の国王だ。もともと仲良しだったから、とも言われてるが国王ならそんなことをしないはずだ。死刑にならず、かなり遠くの小さい町に流刑になったらしいけど。」

  

  国王が関係してるのか?国王殺しはこの国で一番大きい罪だ。どんな人物であっても即死刑となり国民の前で公開処刑となる、と本に書いてあったし学校でも教わった。

  いくら国最強の人でも死刑になるはずだ。ならなんで生きている?

  

 「なんで殺したんだろうな。あの人はそれについて話してくれなかった。」

 「単純に考えると関係性が悪くなるとか、先代国王は人気だったからそれの嫉妬とか。そんな噂が出回っている。」

 「いや、あの人はそんなことで人を殺さない。むしろそういう理由で殺す人を嫌っていそうだった。ほかの理由だろうな。」

 「ほかの理由か…。分からないな。俺も小野リューヤについて詳しく知ってないし。何か他のことを言ってなかったか?」

  

  確か去り際に言っていたはずだ。悲しそうな顔をしながら。


 「国王を殺さなければ、死んでいたのは国民全員だ。そう言っていた。これにどういう意味がああるのかよく分からないが。」

 「意味深だな…。国王が俺たちを殺そうとしていた。俺はそう解釈したが、ナギトはどう思う?」 

 「俺もそう思った。でも先代国王はそんなことしないはずだ。」

 「だよな…。ならどうしてだ?本人に聞くのがいいけど、話してくれなさそうだし、そもそも今日でこの町から離れるんだよな。」

 「それもそうなんだが、今日リューヤさんと少しトラブルが起きてな。もし会ったとしても気まずいんだ…。あの時は頭が回らなかったんだが、今思うとなんであんなことを言ったんだろうなってなる。これからもっと魔法を教えてもらいたかったんだが…。」

 

  ナギトの声はどんどん小さくなり、最後らへんは何言ってるか聞き取れなかった。

  クロスはこんな落ち込んでるナギトを見たことがない。メンタルはあまり強そうではないが、周りに迷惑をかけたくないという善人のような考えから、どんなことがあっても落ち込む素振りをみせない。

  

 (そんなナギトがここまで来るとは、こりゃ相当心に来てるな。)


正直小野リューヤを国王殺したやばい人として見てたから、ナギトのようにはならない。まだ、あまりリューヤのことを信用してないし、そんなリューヤについて考えてるナギトを不思議に思ってる。

  

 「まぁそんな落ち込むなって!お、やっと門が見えたぞ!あとちょっとで終わりだ!」

 「ん?ああそうか。もう少しか…。やっと休める…。」

 

  少し声は大きくなってるが、いつもの30%くらいだ。

  朝になったら元気になってるだろうか。このままの気持ちで特訓するとあまりうまくいきそうにない。

  

 「さて、そろそろ馬車が来るぞ!今のうちトイレ行きたいやつは行ってこい!右の道進めばすぐに見つかるはずだ。」

 

  そう言って先生は右を指さした。明かりがなく認識できないくらいの暗黒が広がっている。

  みんな緊張しているが、暗いからかだれもトイレに行かない。


 「俺は少し行ってくる。4時間も馬車の中にいるらしいから。」

 「お、そうか。…あ、俺も行く。」

  

  行く気はなかったが今のナギトを一人にするのはなぜか不安だ。ついていくくらいなら変に思われないだろう。

 

  トイレに向かったのは2人だけ。こんな時間帯、しかも暗いのに外に出ている人は何人かいた。どの人も誰かと一緒に歩いてるため、ここを一人で通るのは不安なんだろう。やはりナギトを1人にさせなくてよかった、とクロスは思った。


  すぐにトイレは見つかった。ちゃっちゃと済ませて二人とも来た道を戻った。

  暗闇に目は慣れてきたが、暗いことに変わりはない。すれ違う人をよけながら進んだ。

  

  そんな時歩いてると、ナギトの肩に何かが当たった。

  見てみると人が歩いてた。すれ違う時にぶつかったようだ。

  意外と痛かったため大柄の人だろうか?

 

 「あ、すみません。暗くてよく見えなかったんです。」

  

  振り返ってナギトは謝った。

  その人はこの暗闇に溶け込むくらい黒かった。身長はナギトと同じくらい。そこまで大きくなかった。

  ナギトが謝ると、一瞬だけその人は振り返った。顔がちらっと見えた。

  

  目が合った。暗いのになぜか判別できる黒い目。鋭く冷たい。まるで人を殺すことに抵抗がないような…。

   

  すぐに前を向き歩いて行った。歩いてるうちに見えなくなっていった。

  ナギトの足が止まった。体が動かない。手も足も頭も目も。

   

 (なんであいつがいる?いや、あいつなら周りに人がいても俺を殺すはずだ。さっきの奴はすぐに歩いて行った。でも、あの目は、あの顔は。まず、なんであいつがプルテールにいる?普通に考えて入れないはずだ。なのにどうして…。)


 「ナギト!おい!大丈夫か!」

 

  クロスの声で我に返った。気付けば体が動かせる。まだ心臓がドクドクとなっている。涼しいのに汗が流れてきた。

  

 「…すまない。少し考え事をしただけだ。」

 「それならいいが…。何回呼んでも反応しなかったぞ?そんなにすごいことを考えてたのか?また小野リューヤのことか?」

 「いや、今度は違う…。それよりもっと大きなことだ。」

 

  さあ、進むか。そうナギトは言って歩き出した。

  驚きつつもクロスはナギトについて行った。

 

 「お、いいタイミングだ!ちょうど馬車が来たところだ!ほら、お前たちも早く乗れー!」

  

  先生が手を振っていた。右のほうには大きめな馬車がいた。先頭にいる馬は青白くなっている。体からオーラのようなのが出ていて、明らかに普通の馬ではない。

 

 (校長の戦霊だってキョウ先生が言っていたな。こんな大人数も運べるなんてさすがだな。)


  見た感じ戦術士はもういない。みんな入ったのだろう。

 

  馬車の中は馬車と思えないくらい広く、部屋みたいだった。20人分の布団が敷いてあり、ここですくまで寝ろ、というメッセージが伝わってきた。もう何人かは布団の中で横になっていた。

  座りながら寝ると思っていたが、これはありがたい。 

  床もボロボロな木ではなく、しっかり加工してあった。硬さもそこまで気にならなそうだ。


 「それじゃ全員揃ったな。先生とはここでお別れだ!お前ら、レベアルに行っても頑張れよ!まずはあっちで特訓!そのあとに本格的な戦術士になれるから、それまで強くなれよ!」

 

  馬車のドアが閉まった。先生は手を振っている。窓から見ることができた。みんなも手を振り返し、馬車は動き始めた。

  0時30分、予定より少し遅れて戦術士20人を乗せた馬車はプルテールを出発した。

  彼らの戦いはここから始まる。

  

第一章終了です。

次は第二章レベアル編です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ