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11話 『大ホール』

  大ホールはパーティーの会場みたいなところだ。

 ここで前半は校長から勲章をもらい、後半は皆でパーティーをする。

  合格祝いみたいなものだ。

  ていうかこんなところで勲章がもらえるなんてすごいな。

  たくさんの人がいると思っていたが、大ホールの中に入ると30人いるかいないかくらいだった。

  

  見た感じ全員戦術士に合格した人だろう。闘技場で見た人ばっかりだ。

  俺が大ホールの中に入ると、

  

 「ナギト!?。お前合格したのか!」

 「そうだ!レンもここにいるってことは合格か。さすがだな!」


  同じクラスの秋宮レン。

  こいつは魔法が優秀で勉強もできるなかなかの優れものだ。

  どうやらレンは俺が合格すると思ってなかったらしい。

  昨日まで魔法が使えなかったもんな。


 「ありがと、そうだナギト、見てくれ俺の結果を!戦術士試験で50人中第4位だ!すごいだろ?」

 「すごいな…。だが俺はお前よりも高い1位だ!」


  俺は『戦術士試験1位』と書いてある結果を見せた。さらに他も全部3位以内だからみんな度肝を抜いた。

 

 「マジかよ、お前すごすぎだな!ほんとはいつから魔法使えるようになったんだっけ?」

 「確か2か月前の今頃だったかな。長期休みの最後らへん。」

 「2か月でここまでなるのか…。2位がユメナで確か1分10秒くらいだから断トツか。こんなに成績いいのは電気の魔法が強いからか?」

 「まぁそれもそうだな。ただこの零術魔法(ノーレット)は書いてある本がほかに比べて圧倒的に少なく魔法が多くないし、気づくまでにかなりの時間がかかるから、良いところと悪いところがあるな。」

 「ナギト、もっとその零術魔法(ノーレット)について教えてくれないか?」

 「ああいいぞ、全部おしえてやる。」

 

  俺はレンに零術魔法(ノーレット)について教えた。

  あと補修ですごい先生に教えてもらったとか侵入者を倒したことなども話した。

  

 「まるでまるで漫画のようなお話だ。ただすべて事実だ。」

 「零術魔法(ノーレット)か、ナギトが誰にも言わなかったのはどうして?別に隠さなくてもよかったんじゃん?」

 「そうなんだが、教えてくれた人が誰にも言うなって言ってきたから。」

 「なんとなくわかるかも、特別な魔法だし先生とかからお話とかありそうだし。」

 「でも、結局さっきお話があったけどな。」

 

  来てから10分くらい経ったらほかの試験を受けてた人もぞくぞく来た。

  多分武器製造と教師の試験が終わったのだろう。

  よく見るとカイの姿もあった。

  

 「おーいカイ!試験どうだった?」


  呼ぶとカイはすぐにこっちに来て、


 「ナギト、それにレン!ちゃんと武器製造に合格したぜ!」

 「ナイス!内容は簡単だったか?」

 「うーん、俺にとっては意外と簡単だったな。部品の名前や武器の歴史や特徴などを書く筆記と、

実際に組み立てる実技があったが俺にとっては余裕さ!」

 「さすがカイ、武器に関してはお前は最強だもんな。そうだ、聞いてくれよカイ!ナギトがすごいんだよ!」

 「ナギトが?どうした失敗でもしたのか?慰めてやるぞ。」

 「その逆。失敗じゃねぇ成功だ。俺はなんと戦術士で断トツ1位さ。」

 「お前が!?魔法使えないんじゃ…。」


  すべて説明した。これからいろんな人に説明しなきゃいけないのから大変だ。


 「なるほど、信じにくいがその1位という結果を見る限りほんとだろう。」

 「すまないな、なんかだましてたみたいで。」

 「別にいいって!それにしてもお前が特別な魔法か…。」

 「そうだ、特別だ。今世界にも6人くらいしか零術魔導士はいない。」

 「今魔法使える人だけでも世界には80万人くらいだ。確率にすると約13.3万人に一人。すごい確率だな。」

 「正直今でもあまり実感してなくてな、なんで自分なのかって。」

 「最初はそんな感じだろうな。そうだ、確か何年か前にもこの学校で零術魔導士がいたらしいぞ。」

 「まじ?この学校の生徒は零術魔導士になりやすいのか?」


  多分その零術魔導士はリューヤさんだろう。

  あの人もこのウォールト学院卒業だった。本人もそう言っていた。

  とりあえずナギトは聞いてみた。

 

 「それって小野リューヤって名前の人だろ?」

 「そう、そのナギトみたいに金髪の人。めっちゃ強くて主席だったとか。」

 「その人俺に零術魔法(ノーレット)教えてくれた人だぞ。」

 「え、そのすごい先生って小野リューヤのこと?魔法は?」

 「俺と同じ電気だ。あの人のほうが全然強いけど。」

 「まるで運命だな。しかし小野リューヤ名前の人って確か先代国王をさ…。」

 「先代国王がどうかした?」


  その時、照明が暗くなり部屋全体が真っ暗になった。一瞬でさっきまで騒がしかった空間は静かになった。

  暗闇に包まれたがドアが空き、光が大ホールに差し込まれた。

  校長が、そのあと遅れてキノ先生が歩いて入ってきた。

  校長なんてめったに見かけないのに今日は2回も見た。今後そんなことはないだろう。

  まあ今度いつここに来るかが分からないけど。

  ステージに校長がのぼり、そこにスポットライトが当たった。


 「ここに来たみんな。おめでとう。君たちは合格だ!これから多くの出会いや経験があるだろう。ここで学んだことを生かしてこれからも生きていってほしい。君たちの努力はすぐに役立つだろう。」


  それだけ言い、みんなにお辞儀をした。

  照明は明かりがつき、部屋は明るくなった。

  話をしてて気づかなかったが、俺たちの後ろのほうに救助班を受けた人たちもいた。

  すべての合格者が大ホールにいる。

  ここにいない同じクラスの人も数名いる。ここにいないってことは、そういうことだろう。

 

 「これからみんなに勲章を渡すから少しだけ待っててね。5分もかからないから。」


  キノ先生はそう言い校長と一緒に部屋を出た。勲章はまだなのか。

  そういえば周りを見たが、クロスの姿はない。どこ行ったんだ?あいつも合格だったはず。

  

  そのとき、ナギトの通信機に電話がかかってきた。

  クロスからか?

  通知音が部屋全体に鳴り響いてうるさかったため急いでポケットから取って電話に出た。


 「もしもし。なんだクロスか。もう始まってるぞ。早く来いよー。あと5分で勲章もらうんだぞ。」

 「ナギト!急いで闘技場にこい!早く!」


  妙に焦っていた。何かやってるのか?

  たださっきのクロスの声は命の危機を感じてるような声だった。

  それに何か爆発音が聞こえた気がした。魔法と魔法がぶつかったような。

  そろそろ式が始まってしまうがクロスのほうが優先だろう。

  通信機をポケットに入れ、

 

 「すまない、すこし外に出る。多分早く戻る。ごめんやっぱわからん。早くはないかも。」

 「え、おい。ナギト!もう始まるぞ!おい!」

 

  ナギトはカイの忠告を無視して部屋を勢いよくでて階段を下りた。

  クロスは闘技場にでもいるのか?

  なんだ、一体何が起きてる?

  まさか、あいつ戦ってる?


  外に出て走った。闘技場が見えた。

  外からでも中で戦いが起きているのがわかった。大きな爆発音が何回もした。

  入口からそーっと中を見てみると、中にクロスがいた。だいぶ傷ついているようだ。

  クロスは敵からの攻撃をよけ続けていた。

  

  クロスと戦っているのは誰だ?

  敵のほうを見てみた。見覚えがあった。

  

  (あれは確か49番目に戦術士の試験をやっていた人!?)

 

  その時後ろのほうに気配を感じた。

  すぐに後ろを振り返った。誰もいない。ただ遠くに走る影が見えた。敵か?

  その影は校舎の裏側のほうに進んでいった。ナギトはその影を追いかけた。

  

  校舎の裏側に来たが誰もいない。壁と校舎の間は1メートルもあるかわからないくらい。

  つまりまっすぐ進むか、校舎に入るしかない。

  ただ裏側にドアは一つしか無く、勝手に入るとベルがなる。

  まっすぐを見ても人はいない。植物や倉庫など邪魔なものがないため一番奥まで見えたが、人なんていなかった。

  この場所から奥までは100メートルもある。俺が走って校舎裏に来たのが約11秒ほど。


 「なら、さっきの影は…?」


  俺は分からなかったが、闘技場のほうでまた大きな音がした。

  そうだ、クロスはどうなっている?


  急いで闘技場に向かった。クロスはその49番の人に風魔法を使って攻撃していた。

  ただその人は見たことない魔法でそれを打ち消した。

  クロスは俺に気が付いた。



 「ナギトのやつ、何してんだ?もう始まってるぞ?」

 

  レンは校長からもらった勲章を見て言った。ナギトが大ホールを出てから5分は経っている。

  カイはそれを聞いて


 「わからないなー。ただナギトのことだから無茶なことでもしてんじゃないかなー。あいつすぐ体動いちゃうから。」

 「そうかもな。ただそれがあいつのメリットでデメリットだからな…。」


  そのころナギトとクロスが見たことないやつと戦っていることをこの大ホールにいる人たちは知る由もなかった。

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