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1-05.朝、ギャルに絡まれる人生

登場人物:

 ユダ   :主人公1、地味でモブ顔の少年だが恋愛力は53万。この恋愛力のせいで勝手に恋愛イベントが起こり逃げて来た。

 ハゲンティ:主人公2、NTRが好きな元恋のキューピッド。今は堕天してユダの担当に名乗り出ている。勝手に起こった恋愛イベントを丸く収めるため寝取られるよう動く。


あらすじ:ユダはギャルとの恋愛フラグを折るためにハゲンティに協力してもらい寝取られることを望む。それまで何とかしてルート進行しないようギャルから逃げなくてはいけない。

 ユダは突然押しかけてきたキューピッド、ハゲンティと渋々ながら契約したのは昨日のこと。いつ何時、昨日のギャルと遭遇することになるのか、今朝のユダは緊張の面持ちで学園への道を歩いていた。


 昨日は入学式。そして、今日は初めてクラスの同級生と対面するクラス分けの日になる。

 入学式はやたらと長く続く学園長の挨拶と大量の来賓が代わる代わる壇上に立ち一言以上のお祝いを述べるので、その日はセレモニーだけで一日が終わってしまった。

 この恋四葉学園は才能ある平民出身の庶子と貴族の子弟が通っている。勿論、来賓の目的は将来有望な未来の貴族に取り入ることだ。ユダのような平民出身の新入生にとってはいい迷惑だが、彼らの寄付金のお陰で奨学金をもらえるのだからあまり文句は言えない。

 そんなわけで実質学園生活初日となる緊張の一日の始まりにユダは頭上のキューピッドと共に登校している。


「ワイに全部、任せといたらええねん」

「気になってたんですが、ハゲンティさんってなんで変な訛りで喋ってるんですか? なんか西の方の訛り方とは違うし」

「これは個性やで。ワイは個性を尊重する天使やでーちゅうこっちゃ」


 何やらわざとらしい訛りを全開にしてハゲンティは言う。まあ、深く突っ込むことでもないのでユダはそれで納得することにした。

 そんなユダに背後から声がかけられる。


「おっ、ちゃんと学校来たな。なんだよ、結構、ガッツあるじゃねーか」


 登校中のユダを突然背後から捕まえたのは昨日のギャルの一人、ナオミと呼ばれていた少女だった。

 ユダの肩に強引に腕を回すとそのまま歩き出す。


「いやー、昨日はからかいすぎたんじゃね-かって。ちょっと反省してよー。一応謝っとこうと思って」

「は、はぁ」


 周りを見ると残りのギャルはいない。どうやらこのピンク髪のナオミ一人だけでユダが登校してくるのを待っていたようだ。


「まあ、あれだ。それだけガッツがあんなら学校でもやってけるからさ。もしなんか困ったことがあったら……」

「は、はぁ」


 ユダはなるべくナオミの言葉に気のない返事を返しているが、ナオミは気にせず喋り続けている。仲直りのつもりなのか肩を組みやたらと近い距離で話をするナオミに視線を向けないようユダは気をつける。下手に目が合うとメガネで抑えた恋愛力が貫通してしまうからだ。

 やたらと密着するナオミの体からはその年頃の女の子が放つ甘い香りが漂い、さらに柔らかな感触が肩に乗っていることで思春期真っ盛りのユダとしてはそれなりの忍耐力で我慢する必要があった。


 ただ気になるのはさっきからこちらの頭を乱暴に撫でてくることだ。思春期になると、特に女の子は髪を触られるのは親しい人間にしか許さない傾向が強い。そのため、逆に自分が親しく思われているかどうか試す目的で、敢えて相手の髪を積極的に触って来てきたりするのだ。

 そうなると今、ギャルはユダを試していることになる。これはもしかするとかなりルートを進んでしまっているのではないか。早く手を打たなければ引き返せないところにまで行ってしまう。


 ユダは助けを求めるつもりでハゲンティに視線を向ける。その視線の先では小さな天使が頼もしい表情で頷いていた。


「おう、任せときぃ」


 ハゲンティは自慢の弓を引くとナオミに矢を射る。その矢は彼女の胸に刺さった瞬間姿を消した。これは失敗したわけではない。むしろ成功したからこそ消えたのだ。今、ハート型の矢は運命の赤い糸となって対になるもう一つの矢へとつながっているはずだ。


 ただしハゲンティの話によるとキューピッドの矢の効果が出るまで数時間必要らしい。それまで、ユダはなんとかして耐えなければいけない。これ以上ルートが進行すれは取り返しのつかないことになる。

 徐々に近づく学園の門を前にユダは強く決意した。

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