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1-11.ルール無用の残虐ファイト

登場人物:

 ユダ   :主人公1、地味でモブ顔の少年だが恋愛力は53万。この恋愛力のせいで勝手に恋愛イベントが起こり逃げて来た。

 ハゲンティ:主人公2、NTRが好きな元恋のキューピッド。今は堕天してユダの担当に名乗り出ている。勝手に起こった恋愛イベントを丸く収めるため寝取られるよう動く。

 キール  :ユダの同級生、『殺し屋一族(ファミリー)のバラモン』の生意気少年であり他のクラスメイトとは隔絶した恋愛テクを持つ。恋愛テクで相手を破壊することに躊躇が無い。

 ナオミ  :ギャル、入学式でユダをバカにしていたが実は意識している。仲間のギャルにからかわれユダたちのナンパ試合に出てきてしまう。


あらすじ:ユダはギャルとの恋愛フラグを折るためにハゲンティに協力してもらい寝取られることを望む。それまで何とかしてルート進行しないようギャルから逃げなくてはいけない。

 一方、クラス対抗のナンパ試合が始まり初戦はキールが優勢に進めるがオレンジ髪のギャルから思わぬ反撃を受ける。

 試合は開始数秒でカッパー側の勝利に終わるかに思われた。しかし、ディフェンスのギャルの手でそれは阻まれる。キールが巧にゴーレムをベッドの方向へと誘導したがその前に立ちはだかったオレンジ髪のギャルはショタに対して絶対的に優位な肉食系お姉ちゃん属性で攻撃を仕掛けてきたのだ。

 この絶対に覆しようがない属性間の優位差にカッパーから再び悲鳴が上がる。


「駄目だ、こんなのかないっこない。だって肉食系の姉属性だぞ。ショタは食われて終わりだ」

「キールは調子に乗ったんだ。あのショタキャラでいい気になって。だから相手の属性を見誤った」


 カッパーの生徒たちの中では既に敗戦が決まったかのように沈んだ空気が流れる。彼らはキールに対して苦手意識はありつつも実力者としての期待と憧れがあった。その反動で負けが濃厚になったこの試合の雰囲気にショックを隠せないのだ。

 一度選んだキャラは早々に変更することはできない。人間はその様に器用にはできていないのだ。

 生徒たちの鎮痛な眼差しの先で肉食ギャルがショタへとにじり寄る。ここでナンパが中断されれば攻守が入れ替わる。いや、それだけではない。オフェンス側は必ずしもターゲットのみをナンパするわけではない。戦略の幅を保たせるために敢えてディフェンス側を落とすことでナンパを有利に進めることも認められている。カッパーの一部の生徒たちの頭の中でギャルの供物となりベッドで荒々しく貪られるショタの姿が浮かんだ。


「クソぅ、なんて非道な」

「こんなことなら、俺が試合に出るんだった」

「俺達はただ指を咥えて見ていることしかできないのか」


 前かがみになった生徒たちが悔しさを口にする。しかし、そんな彼らの悲観的な未来予想は裏切られることになる。


 キール・バラモンは殺し屋一族の血族。この程度の逆境でくじけるようではこの年まで童貞を守ることなどできないのだ。


「へっ、ねーちゃんさー、そんな短いスカートでいーのかなー?」

「えっしょ?」


 ゴーレムに向ける甘ったるいショタのものとは違う、甲高い耳障りな声。自然と不快感を誘起し、殴りたい衝動を聞く者に芽生えさせる言い回し。

 間違いない、クソガキボイスだ。


「馬鹿な! まさかアイツ、クソガキキャラも扱えるのか!」


 シルバーの生徒たちがこの試合で初めて驚きでどよめく。しかしそれも仕方のないことだ。陰と陽、聖と邪、ショタとクソガキ。この世に同時に生まれ、それ故に混じり合うことのない対極。

 その光と影の境域、人の認知を超えた理論上の領域に生まれると言われている(ゼロ)の奇跡。それこそがショタとクソガキを両立させるのに必要だと言われているのだから。


「ありえない、あれは存在が否定されていたはず」

「だが、見ろ、あれを」


 キールは左手でショタ特有の頼りなさ気でゴーレムの大きな手に掴まり、それと同時に右手はクソガキムーブでギャルのスカートへと伸びる。


「まさか! やるのか!」


 誰もが信じられなかった。ショタにスカートめくりなどできない。それはつまり、今のキールは右手だけがショタではなくクソガキということ。嫌らしく大人を舐めきった動きは躊躇なく下から上へと扇ぐ。


「ピンクだ。やーい、蛍光ピンクだー」


 いとも容易くキールは、ショタは、クソガキはギャルのスカートをめくった。高等部に通う男子には最早、出来ようもない蛮行。それをいとも容易く。誰もがこの時、確信した。あそこにいるのはクソガキだと。


 オレンジ髪のギャルはシュタを食う肉食系になりきっていたことで悪戯をするクソガキに対しての反応が遅れていた。ここはお姉さんらしく頭にゲンコツでもして怒るのが正解だが頭が切り替えられない。そんな彼女にキールは通り過ぎざまに一言言う。


「親父なら、気づかれずにパンツまでいく」


 静まり返ったグラウンドに、小さく呟いたキールの言葉は波紋のように広がった。その言葉の意味は衝撃的な光景とともにゆっくりと人々に意識に溶け込む。

 まさか、ありえない。いい年をした大人がスカートめくりだなんて。

 だがそれを為せるからこそバラモン家は殺し屋として恐れられているのだ。その事実に気づいた時、生徒たちは恋愛の恐ろしさを深く理解した。世の中には彼らが想像もしない怪物が、隣人のようにすぐそばにいるかもしれないということを。


 その後の試合は特に語るべきことはない。予定調和のようにキールが「お姉ちゃん、僕疲れて眠くなっちゃった。ふあぁぁ」と言い。そこには偶然にもベッドがあり。ショタを寝かしつけるゴーレムはまさに押し倒されたと言っても過言ではない体勢になっていた。


 まずは一勝。試合は大方の予想を裏切り、カッパーの優勢から幕を開けた。

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