表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/24

1-09.スポーツ精神に則った健全なナンパ

登場人物:

 ユダ   :主人公1、地味でモブ顔の少年だが恋愛力は53万。この恋愛力のせいで勝手に恋愛イベントが起こり逃げて来た。

 ハゲンティ:主人公2、NTRが好きな元恋のキューピッド。今は堕天してユダの担当に名乗り出ている。勝手に起こった恋愛イベントを丸く収めるため寝取られるよう動く。

 キール  :ユダの同級生、『殺し屋一族(ファミリー)のバラモン』の少年であり他のクラスメイトとは隔絶した恋愛テクを持つ。恋愛テクで相手を破壊することに躊躇が無い。

 ナオミ  :ギャル、入学式でユダをバカにしていたが実は意識している。


あらすじ:ユダはギャルとの恋愛フラグを折るためにハゲンティに協力してもらい寝取られることを望む。それまで何とかしてルート進行しないようギャルから逃げなくてはいけない。

 しかし、ユダはクラス対抗のナンパ試合の代表になってしまい相手クラスの代表としてナオミが出てくる。

 シルバーとカッパーのクラスからそれぞれ3人が前に出て来たことでようやく試合が始まろうとしていた。カッパーからはキールとユダ、ボゥがコートに立つ。一方でシルバーからはピンク髪のナオミ、赤髪のギャル、オレンジ髪のギャルの3人のギャルが代表している。


「試合に出る奴が決まったようだな。それじゃ、改めてルールを説明してやる」


 そう言うと教師はコートを指差しながら、さっきよりは丁寧に試合のルール説明を始めた。


 ハンティングと呼ばれる今回の試合形式は、先ほど教師が言ったように所謂ナンパでターゲットを取り合うことで勝負を決める。

 ターゲットは昔は人間が担当することが多かったが現在はゴーレムが使われている。これには主に3つの理由が挙げられる。

 一つは、人道的理由だ。競技の度にターゲットとなる人間が恋に落ち、しかしそれは所詮試合のためなのですぐに振られてしまう。これは国際人権憲章で禁じられている不当な恋愛力の行使に該当すると問題視されたのだ。

 二つ目は、競技の中立性。ターゲットの好みが反映されればそれは純粋な恋愛力を競っているとは言えなくなる。そのためより客観的に恋愛力を評価できるゴーレムが使用されるのだ。

 三つ目は、競技の安全性。ナンパというのは相手にとってはただの迷惑でしかない。そのため自然と拒絶の言葉も毒が強くなる。結果としてこの競技では心的外傷ストレス《PTSD》を発症する選手が続出した。そこでより安全にスポーツとしてのナンパを楽しめるよう、安全装置がつけられたゴーレムの使用が一般的になったのだ。

 以上の3つの理由でハンティングではゴーレムがターゲットとして使われることが当たり前になっている。そして、その結果、ナンパは恋愛力を測るのに最も適したスポーツとして広く親しまれるようになったのだ。


「ああ、そうだった。お前達、安心しろ。あのゴーレムは魔石に安全装置がついた合法のものだ。まずあれで(・・・)怪我することはないだろう」


 安全装置、ゴーレムの頭部に位置する魔石にはゴーレムが守るべき3原則を刻まれ、この命令がゴーレムを人間社会で安全に使用するために必須となっている。3原則とはすなわち、人間社会の秩序(・・・・・・・)を守り、人をよく助け、人が怪我しないように振る舞う。この安全装置が付けられていない違法なゴーレムも闇では取引されているが、当然この恋四葉学園が所有しているゴーレムは市販されている技適を通過した物に限られている。


「だが、お前たちは恋四葉学園の生徒だ。学校の体育でやるようなぬるいナンパは求められていない」


 コートの真ん中にはバトルフィールドがありそこにはナンパのターゲットがいる。チームはそれぞれ自分のフィールド《自陣》にいて、代表者の一人だけが出てくることが出来る。ハンティングの一般的な(・・・・)ルールではバトルフィールドではオフェンスとディフェンスを交互に交換する。交換のタイミングはオフェンスのナンパの言葉が止まった時。それまでディフェンスは野次を飛ばしたりオフェンスの前に立ってブロックを行うことが許されている。オフェンスとディフェンスの交換はナンパのターゲット、今回はゴーレムが押し倒されるまで続けられる。


「それでは、先攻後攻をコイントスで決める。先鋒、出ろ」


 当たり前のようにキールが前に出ると、シルバー側はオレンジ髪が前に出る。こと勝負事では勢いが重要であるため先鋒には実力者が選ばれることが多いのだが、キールはどちらかと言うと待ちきれなくて最初に試合に出たのだろう。

相手側のギャルはキールの素性を知らないのか余裕の表情で上から見下ろしていた。


「ねぇねぇ、君さぁ。ナンパよりもあーしといいことしない?」

「へっ、俺と直接やりあいたいのか? いいけど、泣いて謝っても遅いぜ」


 舐められたことにキールは憤慨するかと思ったがむしろいい度胸だと獰猛に笑っている。しかし、その幼げな容姿では彼の実力を知らなければ危険性よりも愛玩動物めいた魅力しか伝わらない。


「おねショタだぁ」

「でも同級生だろ? 定義に反するんじゃ」

「いや重要なのは年の差よりも二人の身長差と関係性だ。それに照らせば間違いなくおねショタ」


 試合が始まる前から観客の生徒たちは白熱した議論を始めている。恋愛力を鍛える上では実戦経験と同じくらい目の前でどんな戦いが行われているか理解することも重要なのだ。その意味では既に彼らは立派な恋四葉学園に通う恋愛エリートの卵なのだろう。

もし、続きが気になる、面白かった、と思っていただけたら、是非ブックマーク、評価で応援していただけると嬉しいです。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ