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ゆりかごの唄(連載版)  作者: 小松郭公太
6/6

おわりに

十五年という歳月は、相当なものである。あの時生まれた赤ちゃんは、今中学三年で、明日明日高校受検ということになっている。 さて、ミエコ姉さんはいったいどのような十五年を過ごしたのだろうか。ミエコ姉さんのことだから、きっと人との関わりを大切にした仕事についているに違いない。そして、持ち前の明るさで、その場の雰囲気を和ませていることだろう。 

 ミエコ姉さんの部屋には佐久間さんの遺影があって、毎朝手を合わせてから職場に向かっているのだろう。還暦も過ぎたのだから、休日は友達と温泉にでも出掛けられるようだったらよいのだが。

 私たちのことは決して忘れてはいないだろう。ただ、もう迷惑をかけてはならない、という気持ちがあるので、訪問は遠慮しているのではないだろうか。どこか遠くの町で、ときどき私たちのことを思い出しているのだろう。ミエコ姉さんは、そうやって斟酌する年齢に十分達したのだ。

 でも、もしできるのであれば、もう一度、私たちの大切な時に突然私の家を訪れて欲しい。語尾を跳ね上げるような福島のイントネーションで「叔母さん、私また来ちゃった」と話して欲しい。そして、もしそれが本当に実現するものなのであれば、それは、差し当たり、長男か長女の結婚式の日、ということになるのではないか、と思うのである。


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