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2. この世界のこと

 私がレティシア・レイ・シャンデールになってから1年がたった。


 この1年間は本当に驚きの連続だった。

 まず、この世界は現代でも日本でもなければ地球でもない。

 異世界というべきなのかな?


 なんと、この世界の人はみんな魔法が使えるらしい。


 しかも、風の魔法を使えば電話代わりにもなるし、氷の魔法を使って部屋の温度を適温に保ったり、雷の魔法を使って部屋の電気をつけたり、かなり充実している。

 おかげでこの世界にパソコンやスマホはないけど、不便に感じることは何一つなかった。むしろ便利だと思えることのほうが多いかもしれない。


 私は魔法が使えるということが嬉しくて、この1年は無駄に魔法を使っては魔力を枯渇させて寝込んでしまい、侍女に怒られっぱなしだった。



 魔法の中には『特別な魔法』というものが存在し、その魔法を使えるのが貴族で、使えない人が平民として分けられている。

 『特別な魔法』以外の魔法は貴族も平民も個人差はあれど皆平等に使えるけど、『特別な魔法』は貴族だけが使える貴族の象徴。

 『特別な魔法』についてはまだ詳しく知らないけど、すべての生き物が魔法を使うために必要な魔法なのだそうだ。


 私、レティシア・レイ・シャンデールも貴族なので、『特別な魔法』が使える。しかも、シャンデール家の爵位は公爵。私は現王太后の弟の孫にあたるらしい。


 ちなみに、私の名前の「レイ」というのは、直接王族の血を継いでいる者だけが名乗ることを許された名らしい。そのため、私はレティシア・レイ・シャンデールと名乗り、父もメリオール・レイ・シャンデールと名乗るが、侯爵家から嫁いできた母はエミリア・シャンデールと名乗っている。


 そして、この世界でもう一つ重要なことは『聖女』の存在だ。

 聖女とは『特別な魔法』の力が極めて強い女性のことで、聖女がいなければ人々の魔法は不安定になり、生活もままならなくなり、国が傾くとまで言われているらしい。


 はじめて聞いたときは、女性一人の力で国を支えているなんておかしな話と思ったが、この世界の人々は皆、本当に聖女を崇めている。


 聖女は原則50年を任期としていて、50年に1度、もしくはそれよりも早く聖女が亡くなったら、貴族女性の中からたった1人の聖女を選ぶのだそうだ。

 そして、現聖女の王太后があと10年ほどで50年の任期を終えることになったため、貴族令嬢は皆、次の聖女の座を狙っている。


 もちろん、私も貴族令嬢なので聖女候補の一人だ。

 もし私が聖女になれば公爵家も安泰。

 聖女はこの国の王子との婚約も約束されているので、ゆくゆくは聖女兼王妃ということになるらしい。


 だけど、私は貴族女性全員が羨む聖女兼王妃になりたいなんて思わない。そんなに責任のある仕事なんてできない。絶対に過労死しちゃうと思う。日本での記憶がある私にとっては全く羨ましい話ではない。


 今の私は魔法を使うことが楽しくてしょうがないのだ。もちろん聖女兼王妃になって世界の為に生きることは立派なことだと思う。だけど、聖女になりたい令嬢は山のようにいるみたいだし、どうせ人の為になることなら魔法研究をして、日本時代のアイディアとこの世界の魔法を組み合わせて、みんなの暮らしがもっと豊かで便利になるように貢献したいと思う。



 なので、私は秘かに魔法研究者になるべく、猛勉強をした。

 もともと勉強は嫌いでも苦手でもなかったし、何よりも全く知らないことを覚えていく感覚は最高に楽しかった。両親や侍女は私が次期聖女になる為にこんなに頑張っているのだと思い、魔法研究に関すること以外にも、聖女になるための勉強や王妃教育など、ありとあらゆる専門家が国中から集められて、私の家庭教師になった。


 聖女や王妃にはならないけど、せっかくの学べる機会を逃すなんてもったいない。

 私は次々とこの世界のことを吸収していった。


レティシアはこの世界を楽しんでいます。無邪気!

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