最悪のスタート
-------------京の自宅--------------
京「ってわけだから、明日から俺は帰るの少し遅くなりそうだ」
雫「ええ?!明日からなの?!」
京「そうらしい…」
京の母「あらあら…まぁ悪い事じゃなくてよかったわ。
帰り道は暗いだろうから気をつけて帰ってきなさいね。」
------------------------次の日の放課後-----------------------
京は放課後、校長から指定された、文理混合授業が行われるという教室に向かった。
どんな生徒たちが待っているのかと、少し緊張しつつ、期待に胸を膨らませ、教室の扉を開ける……
教室にはいつも通りイスと机が並んでいた、最新型の真っ白な机と、座りやすいように少し曲線を描いた、これまた真っ白なイス。
机と机の間は、ひと1人がゆうに通れる隙間が空いており、びっしりと机とイスが並んでいるというよりは、ゆったりとした空間となっている。
埋まっているのはたった1席だけ。
教室の中央あたりに、ポツンと、1人、座っている。
横顔が見える。
スラッと伸びた綺麗な黒髪。
整った目鼻立ち。
アイドルや女優と比べても、引けを取らないであろう美しさ。
少女が1人、教室で黙々と本を読んでいた。
ブックカバーがついており、なんの本かはよく分からなかった
が、ブックカバーはかなりボロボロで、大切にしている本なのだろうというのは分かった。
京(え…まだ一人しか来てないのかよ…
いや、まさか…2人っきりで授業受けるなんてことはないよな…?
校長は具体的に何人で授業するとは言ってなかったから、その可能性も…
ある訳ないか、ラブコメの読みすぎだ。
というかあんな美人、この学校にいたのか?
初めて見たぞ…
とりあえず、この授業は大人数で受けるって訳ではなさそうだ…
これから1年間、同じ授業受けるわけだし、あの子とも仲良くしておかないとな)
おずおずと京が教室に入る。
少女は依然として、黙々と本を読んでいる。
そして、京が隣の席へ座ろうとしたその時
黒髪の少女「ねぇ」
京「?!
あ…えっと、俺、桃李 京っていうだ…その、よろしく」
黒髪の少女「そう、どうでもいいけど、隣に座らないでもらってもいいかしら…?
こんなに沢山席が空いてるんだし、どこか他の席に座ればいいんじゃない?」
京 (え、えぇ…)
京「あ、あはは…、ま、まぁ、これから1年くらい一緒に授業受けるわけだし、仲良くしたいなって…だから…隣に…」
黒髪の少女「そうなの、でも私はあなたと仲良くするつもりはないし、話しかけられても迷惑だから、隣はやめていただきたいわ」
京 (え、俺なんかこの子に悪い事したっけ…!?
いや、初対面だよね…
あんまり人と関わらないタイプの子なのかな…
ええと、とりあえずこういう時は、一旦引いた方がいいよな…)
京「あ、ははは…そ、そうだよね…」
京はそそくさと席を立つと、数席空けて、席についた。
そして、そのまま机に突っ伏す。
京(………
最悪のスタートだ…。)