始まりは突然に
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こちらでは
登場人物のセリフは
名前「」
という形式で書かせていただきます。
例えば
私「おはようございます!」
などです。
また、登場人物が心の中で思っている事は
名前 ()
という形式で書かせていただきます。
例えば
私 (読んでくれてありがとうございます!)
などです。
それでは、物語をお楽しみいただければなによりです
キーンコーンカーンコーン
終礼の鐘とともに、生徒達は一斉に下校を始める。
そんな中、机に向かい続けている者が1人…
桃李 京、ここ叡智高校の2年生で、理系特進コース、通称 "理特 "に在籍している。
数学や理論物理学の分野で秀でた才能を発揮し、数学オリンピック、物理学オリンピックで史上初となる、両分野での金メダル受賞を2年連続で果たしている。
「よお、京!
また居残りして勉強か?そんなんしてると、かえって頭が固くなるぞ?」
この、京にむかって気さくに話しかけている男は 中野 優生、京の幼馴染で、同じく理系特進コースに所属している。
茶色の髪色に、着崩した制服、まさにいまどきの男子高校生といった感じで、少しチャラい。
しかし、この一見おちゃらけた男も、超エリート校、叡智高校の一員、もちろん普通の学生とはひと味違う。
この男、中野優生はノーベル生理学・医学賞受賞者である中野 弘明 を父に持ち、今年開催された生物学オリンピックでは、堂々の金メダルを受賞している。
まさに、生物学界のサラブレッドなのだ。
京「あぁ、どうしても解きたい問題があってな、
解いてから帰りたいんだ。」
優生「お前いっつもそうやって言うけど、それってどうしても今日じゃなきゃダメなのか?
別に明日でも…」
京「一度解くって決めたら、解けるまで絶対に諦めない。それが俺のモットーだからな」
優生「は、はは、、」
いや、だから明日解けばいいじゃん?と言いたい気持ちもあったが、これ以上聞くとかえって面倒くさそうだったので、優生はとりあえずテキトーに相槌をうっておくことにした。
優生「そ、そうなのか、、
まぁ、ほどほどにな、、、」
京は、一度数学や物理の問題に取り掛かると、そればかりに気を取られてしまい、そのほかの事に気が回らなくなってしまう事が多々ある。
その問題で頭がいっぱいになってしまうのだとか。
そんな2人が会話をはずませる(?)中
ピンポンパンポーン
突然、校内放送の合図が流れた。
京「ん、この時間に校内放送なんて珍しいな…。」
優生「そうだな…って、おい、話をそらそうとするな
早く一緒に帰…
優生の声をかき消すように、アナウンスの音が、2人しかいない、放課後のがらんとした教室にこだまする。
校内放送「2年 桃李 京君、学校長がお呼びです、至急校長室へお越しください。
繰り返します。
2年 桃李 京君、学校長がお呼びです、至急校長室へお越しください。」
京・優生「、、、」
少しの沈黙の後、先に口を開いたのは優生だった。
優生「お、おい、、校長から直接の呼び出しって…
相当やばくねぇか…?
お前、なんかやらかして無いだろうな…?」
京「いや、、俺は心当たりなんて…」
優生「と、とにかく早めに行った方がいいんじゃねぇか?
急いで来いみたいなこと言ってたし…」
京「あ、ああ…」
優生のいる教室をあとにし、京は校長室に向かう。
----------------校長室前-----------------
京 (校長室前…まさか俺が表彰以外でこの部屋の前に立つことになるとは…)
ドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開ける。
京「失礼します……
…………………
-------------京の自宅-----------
京「えっと…f(x)= exp(x)+exp(-x) だから…」
??「お兄ちゃ〜ん」
京「んー…双曲線関数を利用すれば解けそうなのにな…」
??「おーい」
京「あ、そうか、ここは逆関数で…」
??「お兄ちゃんってば!!」
京「うぉあ?!
な、なんだよ…雫か…いきなり声かけるなっていつも言ってるだろ…
ってかここ俺の部屋なんだからノックくらい…」
雫「だって、、さっきからずっと呼んでるのに、お兄ちゃん全然気付かないんだもん、、」
少しムスッとした表情をして、京のことを見つめる彼女は、京の妹、桃李 雫である。
兄の京ほどではないが、雫も学業面は優秀で、現在は中高一貫の女子校に通っている高校一年生だ。
美人の母親からの遺伝か、容姿端麗で、女子校でなければ男子からモテモテだったであろうことは容易に想像がつく。
京「あ、、わ、悪い悪い。つい集中しちゃってて…
わざわざ呼びにきてくれたのか?
ありがとな!」
京がそう言って微笑みかけると、パッと雫が満足気な顔になる。
雫「お母さんが晩御飯できたって呼んでるよ!
早く下に降りて来てよね!
今日は私もお料理手伝ったんだから!」
京「お、おう。すぐ行く」
京の家はごくごく一般的な家庭である。
叡智高校の生徒のほとんどは、裕福な家庭で英才教育を施されているか、両親のどちらかが著名な学者である場合が多く、京のようなケースは珍しい。
京はいわゆる血筋や環境に恵まれた訳ではないが、小さい頃から数学や物理学の美しさに魅入られ、その才能を磨いてきたのだ。
京が食卓につくと、すぐに台所にいた雫が駆け寄ってくる。
雫「ねね!このグラタン、私が作ったんだ!
自信作なの!良かったら食べてみて!」
京の母「雫…あんたもいい加減お兄ちゃん離れしなさい…」
雫「う、うるさいなぁ!/////
ほっといてよ…!!」
京「あ、そんな事より…、俺、話さなきゃいけない事があるんだ…」
雫「そんな事?!」
京「…実は俺、今日、うちの学校長に呼び出されたんだ…。その事について、話しておかないといけなくて…」
京の母・雫「校長に呼び出された…?」
京の母「い、一体何をしたの?、まさか、退学なんてこと無いわよね…?
あなた勉強しかしてこなかったから…、今から社会に出るなんて、心配すぎるわよ…」
雫「大丈夫お兄ちゃん!お兄ちゃんが就職出来なくても、私が養ってあげるから!!」
京「いや、退学って訳ではないんだけど…」
京の母・雫「?」
京「………………