表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/73

69.2人の仲間

「グギューンッ!」


「そっちに行ったぞ、ダレン!!」


「わかってる! セイリン、補助を頼むよ!」


「ええ!!」


 全てが真っ赤に染まる槍を持ち構える少年。黒髪に動きやすいように要所のみに革鎧を装備した少年は、向かってくる魔物、クワトロベアを睨む。


 名前の通り、腕が4本ある巨大な熊で、この辺りではCランクの魔物に分類される。その巨体通りの腕力で人間なんて人殴りで殺してしまう魔物だ。


 クワトロベアは真ん中と足の四足歩行で走り、上の腕を横に広げて黒髪の少年へと向かっていく。


 少年ほどの年齢なら自分の倍近くの大きさのある熊が目の前に迫って来たのなら、泣き喚いてもおかしく無いのだが、少年はその場から動く事なく冷静に迫るクワトロベアを睨んでいた。


「ふっ!」


 少年に迫り巨大な腕を振るうクワトロベア。本来なら助けに入るべきなのだろうけど、俺も銀髪のし神官服を着た少女も眺めているだけだった。いや、少女の方は魔法を付与しているか。


 助けに行かない理由は簡単だ。助けに行く必要が無いからだ。少年に向かって振り下ろされる腕だが、少年は槍を腕に絡ませるように回す。


 地面に叩きつけられるように上から下へと勢い良く振り下ろされた腕だったが、気が付けば上に振り上げられており、クワトロベアは驚きの声を出す。


 少年はその内に一歩踏み込んで鋭い突きを放つ。クワトロベアの巨体を支える膝に鋭い突きが突き刺さり、クワトロベアは痛みで叫びながら片膝をつく。


 クワトロベアは痛みと怒りで暴れるように腕を振り回すが、腕の当たる範囲には、既に少年の姿はなかった。


 腕の範囲の外で力を溜める少年。クワトロベアが気が付いた瞬間、溜めていた力を一気に解き放つ。


「しっ!!」


 クワトロベアの顔目掛けて放たれた鋭い突きは、真っ直ぐと狙い定めて伸びていくが、流石に自身の顔を狙われているからか、迫る槍にクワトロベアは気がつく。


 クワトロベアは突き刺された右足を庇うように手をついた右腕の反対側の左腕2本で、迫る槍を払おうと振るう。


 少年の槍ははたき落とされるかと思えたが、次の瞬間、槍の穂先が振るわれた腕を掻い潜るようにグニャと進路を変えた。


 クワトロベアは触れると確信していたのだろうが、触らなかった事に一瞬固まってしまう。その隙が命取りとなり、少年の槍はクワトロベアの左目から脳を突き抜け穿つ。


 そのまま少年は槍を右側へと降り、クワトロベアの頭は半ばで切り分かれた。切り口からは血が噴き出ると思われたが、噴き出る事なくクワトロベアはその場に崩れる。


 少年はクワトロベアが倒れた後も目を離すことなく暫く睨む。しばらく睨み続けたが、頭を貫かれたクワトロベアは動く事はなかった。確実に死んだ事を確認出来た少年はようやく構えを解く。


「やるじゃ無いか、ダレン」


「ははっ、君が辺りを警戒しながらもセイリンを守ってくれたから、クワトロベアに集中出来たんだよ。ありがとう……ジーク」


 俺は黒髪の少年、ダレンとハイタッチをする。そんな俺たちを見て銀髪の少女、セイリンが微笑んでいた。この2人と出会ってからもう2月が経つのか。思い出すのは俺が追い出された頃だった。


 俺が廃嫡され、王都を追い出されてから半年が経った。王都を追放された俺は、これからどうしようかと考えてまず初めに目指したのは、国境だった。


 あの魔導人形に聞いた話や魔導書に書かれていた内容を思い出した俺は、関係があるかもしれない国、クライアント帝国に向かおうと思い国境を目指した。


 クライアント帝国は、魔導書にも書かれていた大陸の3分の2を統一していた大帝国の唯一の子孫が建国した国と言われており、今の皇帝まで血が続いているらしい。


 そこに行けばもしかしたら魔王の事などがわかるかもしれないと思ったからだ。魔導人形も何体かいるようだし。


 ただ、普通には行けない事はわかっていた。理由は帝国と王国の東隣の獣国が戦争をしているためだ。そのため、獣国に入るのに規制をされており、そこから帝国へ向かおうとすれば、捕まってしまう。


 そのため、少し遠回りではあるが北の国に入ってから、帝国側へと回る道のりを選ぶ事にした。金が少ないため乗合馬車を幾つかと、冒険者として登録して依頼をしながらお金を稼いで北の国に入ることができたのが、追放されてから2ヶ月後の事だった。


 それから、また冒険者として稼ぎながら国境を越えるための税金を稼いでいた時に出会ったのが、彼らダレンとセイリンだった。


 2人も帝国に向かうための賃金を稼ぐのに冒険者生活をしていたようで、年齢も近かった俺とは意気投合し、今では一緒に帝国に向かうためお金を稼いでいた。


 2人が帝国に向かう理由は聞いた事はないが、俺には話せない事があるのはわかっている。まあ、俺も元王子っていう事は隠しているので、あまり気にはしていないけど。


「それじゃあ、クワトロベアを解体しようか!」


 ダレンの言葉に俺とセイリンは頷く。さてさて、幾らで売れるかな?


 ◇◇◇


「……ようやく見つけました」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ