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51.クラス対抗戦

「それではこれよりクラス対抗戦を始める。まず初めに諸注意等をティール先生より説明していただきます。ティール先生、お願いします」


 憎らしいほど燦々と輝く太陽の下、俺は訓練場に立っていた。勿論俺だけでなく、今日行われる対抗戦に参加する生徒たちが各クラス5人、全クラスで20人の生徒が並んでいる。


 人数が少ないため全員の顔が先生たちからはよく見えて、その上俺はDクラスの列の1番前。この並びは参加者の中の爵位順らしく、俺は1番前になってしまった。そのせいで、気を抜く事も出来ずに話を聞かなければならない。


「武器、魔法ともご自身で用意した物を使用していただいても構いませんが、致命傷となる攻撃はなるべく避けるように。こちらも審判として各先生方がいますが、万が一もありますから。それから、皆様には身代わりの札を渡しますので、戦闘中は必ず持っておくように」


 ティール先生がそう話すと、各クラスの前に担任の先生たちが身代わり札を渡してくる。俺のクラスは当然フレック先生だ。Aクラスは担任のティール先生が壇上にいるため、別の先生が手渡している。


「皆さん、受け取りましたね。それでは早速クラス対抗戦を始めたいと思います! まず初めはAクラス対Dクラスです! 先鋒を務める者は残り、他の参加生徒は各クラスの観覧席へと向かいなさい」


「それじゃあ、私たちは行くけど頑張ってね」


 ティール先生の言葉を受けて、出場者の生徒が観客席に向かう中、エレネがそう言ってくれる。その理由はこの1回戦戦うのが俺だからだ。


 その後ろには同じくクラスの参加者であるユータス、ユーリエ、リークレットがいて、リークレット以外は応援してくれた。


 俺は彼らに頷きながらその場に残ると、残った対戦相手を見る。相手は


「そうか。ジークハルト殿下が相手ですか」


 白髪を後ろでくくり、黄色の瞳で俺を睨んでくる男。攻略対象の1人で、剣聖である母を持つ男、リグレット・ハーデンベルツだった。


「初戦は来るとしたら兄上かリグレットだと思っていたけど、予想通りだったな」


「はっ、当たったからなんだと言うのですか? まさか、私に勝てるとでも?」


「さぁな? そんなのものやってみなきゃわからねえだろ? ただ、今のお前には負ける気はしないが」


 こんなあからさまに見下してくる奴には流石にな。俺の言葉に腹を立てたリグレットは無表情ながらも腰に差す剣の柄を力強く握っていた。


「2人ともそれぞれの位置へ行ってください」


 リグレットと睨み合っていると、俺たちの審判を務めてくれるBクラスの担任、コレット先生がそう言ってきた。


 コレット先生は29歳になる先生で、学園を卒業後、そのまま教師になった人だ。茶髪のボブカットでメガネをかけていて、かなり綺麗な先生なのだが、酒が好きなのだが、酒癖が悪いらしく、彼氏が出来ないらしい。残念な先生で……おっと、睨まれてしまった。


 何か言われる前に俺も決められた位置にたって黒剣を鞘から抜く。俺が構えたのと同時にリグレットも構えを終えていた。奴の剣は前に見た模擬剣ではなくて、明らかに俺と同じ魔剣だった。


 確かゲームだと、白零剣アイシスだったか。氷属性の力が宿っている魔剣だった気がする。奴がどのような技を使うかはある程度わかるが、型とかを知っているわけじゃないからあまり役には立たないかもな。変な先入観を持つより、見て動いた方が良いかもしれない。


「それではクラス対抗戦。Aクラス対Dクラス1回戦、始めます……始め!」


 コレット先生の合図と共に身体強化をして走り出してくるリグレット。俺も同じように身体強化をして迎え撃つ。


「せいっ!」


 リグレットは何のフェイントも入れずに真っ直ぐと袈裟切りを放って来た。こいつ、舐めてるのか? いくら俺が4年前まで不真面目だったからって、この4年間はレイチェルさんに指導してもらっているのは知っているはずだ。それなのに、こんなふざけた攻撃しやがって。


 俺はリグレットの剣を容易く下から打ち上げて弾き、そのまま横に黒剣を振るう。リグレットは後ろに下がり剣を避けるが、更に詰めて右下から斜めに振り上げる。


 リグレットは剣を振り下ろして防ぐが、俺はそのまま押し切り、今度は突きを放った。これも弾かれるが、リグレットは距離を取ろうと下がるだけ。そこに俺は更に詰めていく。


「どう、した!? こんなもんかよ!?」


「くっ、ここからが本番ですよ!」


 何度か剣を打ち合い、鍔迫り合いになったときに挑発すると、リグレットはすぐに乗ってきた。その瞬間、黒剣の剣身がパキパキと氷に覆われていった。魔剣を使い始めたな。


 今度は俺から離れると、俺がいた地面が凍り付いていく。この訓練場の中も次第に冷えていき、観客にいる生徒たちは寒さに震えて、腕を擦っていた。


 俺も軽く寒さに震えていると、リグレットは変わった様子もなく迫って来た。動きの速さは桁違いに。舐めるのをやめて本気になったか。ここからがようやく本番だな。

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