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25.これからの話し合い

「……朝から色々とありましたが、今日のご予定をお話ししましょう」


 朝食を食べ終えた後、みんなで食後のお茶を楽しんでいると、宰相が今日の予定について話し始める。隣には俺の右腕をぎゅっと抱き締めるクロエが。みんなもう諦めた。


 初めは俺から彼女を引き剥がそうとエンフィが頑張っていたが、この細い体の何処から溢れてくるのかわからないほどの力で。俺の腕が先に悲鳴を上げたため、エンフィが諦めたのだ。


「うふふっ、どうなさったのですか、旦那様? もしかして私の体が所望ですか? もう、こんな朝から大胆ですねっ! でも、そんな積極的な旦那様も大好きです!」


 少しクロエを見ていたら、そんな事を言ってきた。そしてより体を擦り付けてくる。そんな猫みたいに。


「それは嬉しい提案だけど、また今度にしよう。それよりも宰相が少し睨んでいるから話を聞こうか」


 俺の言葉に頷くクロエ。宰相はニコニコとしているが若干鋭く刺さる視線が私の話を聞きなさいと物語っている。俺が苦笑いしながら頷くと、宰相は続きを話す。


「本日は殿下には陛下より勅命を頂いております」


「勅命? 視察だけじゃ無いのか?」


「ええ、まあ勅命というほど大層なものでは無いのですが……殿下にはこの残りの期間は第5部隊と共に魔物を倒す経験をしてもらいます」


 ……魔物を倒すか。そろそろ行きたいと俺も思っていたところだ。ただ、王子という立場のせいで中々外に出られなかったからな。どうしようかと思っていたところだ。


「それは助かるよ。俺もそろそろ行くべきだと思っていたところだ」


「それは何より。これは王族は全員通らなければいけない道です。中には断る方もいたようですが、魔物が蔓延るこの世界、そのような事では生きていけませんからな」


 宰相の言葉に俺は頷く。行くのは俺、レイチェルさん、テルマ、エンフィ、クロエに第5部隊になる。第5部隊と言っても、来るのはアルフォンス隊長と部下が2人だけだが。それでも、この辺りの魔物を相手するには過剰戦力と言っても間違い無いだろう。なんせ、元第3部隊隊長のレイチェルさんがいるのだから。


「この辺りはそれ程危険な魔物は出ません。ごく稀にワイバーンが山から降りて来るぐらいですかね。それも、アルフォンス殿とレイチェル殿がいれば問題ないでしょう」


「わかったよ。ただ、装備が無くてさ。それをどうにかしないと……」


「勿論、陛下より賜っておりますよ。メルティア、お持ちください」


「わかりました」


 メルティアも俺がここで魔物の討伐に行くのを知っていたのか。しばらく待つとメルティアが両手一杯に俺の装備を持って来た。それを見たレイチェルさんがほぅ、と声を漏らす。何か良い装備なのだろうか? と、思っていたら俺でも見た事のある装備があった。


「これがジーク殿下に陛下が用意された装備一式になります。勿論グルディス殿下にも同じように渡しておりますので遠慮する事はありませぬ」


 そう言われれば気にする事はないな。装備は俺の戦い方をレイチェルさんから聞いていたのか、動きやすい革鎧が上下セットで置いたあった。ただ、見るからにただの革ではない。


「この革鎧はドラゴンカメレオンという環境によって属性を変える魔物で使った革鎧です。体長5メートルと巨大なのにカメレオンのように体を変えるので、かなり討伐が難しい魔物です。途轍もなく長く弾力のある舌の攻撃に鋭い爪、なんでも溶かしてしまう酸ブレスとかなり手強いそうで」


 あー、ゲームの中でも出て来たあの厄介なカメレオンな。まず見つけるのに時間がかかる。跡を追わないと見つからないのだ。見つけた後も逃げられないように攻撃しないといけないし。逃げられたら回復されるし、と本当に面倒な敵だ。


 その代わりその素材で作った防具は中々の効果を持っていたと思う。この革鎧もそれなりの能力を持っているのだろう。


 そして何より気になるのはこの漆黒の剣だった。俺は剣を手に取り鞘から抜く。剣身にはぎっしりと文字が書かれていた。


 俺が魔力を流すと剣身に書かれた文字が輝く。文字はひらがなだけでなく、カタカナでも書かれていた。まるで魔導書のように。


「それは王家の宝物庫にあった一振りの剣です。銘もわからず、その文字を読めるものがいなかったため、誰も使う者がいなかったのです。ジーク殿下なら扱えるのでは? と思い陛下より渡されました」


 なるほど。魔導書が読める人なら使えそうな気がするけど、魔導書を読める人が戦える人とは限らないし。


「モードコキュートス」


 魔力を流しながら剣身に書かれた文字を読むと、一瞬にして剣が氷に覆われた。部屋の気温も下がる。俺は慌てて解除すると、部屋の気温も戻る。


 中々扱いが難しそうだけど、これは慣れれば使えそうだ。

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