オカズの二品目「神殿侍女サキ 実食」
「え~だってさぁ~」
「何を根拠にサキが淫らだと言うのです!
彼女は立派に神殿侍女の務めを果たしていますよ!」
「いや、だってあの胸でメイドさんは無理でしょ?」
「わかるわ」
私は速攻で頷き返します。いや、うん。ほんっと何食べたら
あんなにたゆったゆんのボンボンが胸にぶら下がるのかしら。
誰も触ったりしないし、あの胸について言わないのよね。
まぁ、此処は聖都の大聖堂。それはもう不埒な下ネタなんて口にしたら
左遷、破門は免れない――筈という建前なんだけどね?
現実としてそんなちょっとの軽口や軽薄なノリで役職解任やら破門やらを
一々やっていたら謀反を起こされてしまう上にお酒も飲めない。
そもそも、それが民衆に伝わる事もないのだから
結局は出世争いや派閥闘争の脅しのネタになるのが関の山です。
「なんで、サキを茶化したりしないのかしら?
あの胸よ? あのヴァイン・ヴァイン・ヴァストよ?」
「おや、解らないのかい聖処女様?」
「いえ、そりゃ聖処女の世話役となれば
私が擁護する過程で罰せられるからって事かなとは思ってたけど」
「ふふ、ダメだなぁ~聖処女様は。だから処女なんだよ~」
くっ、明らかに夢魔は私を馬鹿にしていますね。
仕方ないでしょ、処女なのは! 私が処女を散らしたら破滅の時に
救世の儀が行えないの! 世界が滅んでしまうのだから処女なの。
決して、私がモテないとかそういうのではありません!
しかし、それを一々口に出して主張すると私が本当にモテないのを
この使命に言い訳にしているみたいじゃない。くっ、流石夢魔。
其処まで計算して私を馬鹿にするのね? まぁ、いいわ。
私とサキは幼少からの付き合いで今日来た夢魔とは年季が違うわ。
どんな理由だっていうのかしら!
ろくでもない理由だったらすぐに論破して上げるわ!
「皆があの胸で楽んでいる&これから楽しむことになるから
足並み揃えて誰も言い出さないのさ。ボロを出さない為にね?」
「なるほど」
あー、そういう事かー、聖処女ちゃん納得しちゃったよー。
かー、そっかー、皆はもうサキと肉体関係を持ってるのかー。
……どんだけ淫乱なのよ! そりゃ夢魔にもエロいって言われるわ。
待って、サキ。いつの間にこの聖都の大聖堂で
夜な夜なエロいミサをしていたの? 性なる母になってたの!?
私はあくまで聖処女だから、聖母様とは役割が違うんだけど
やっぱり、あのBIG.BIGGER.BIGGESTな胸で聖乳を振る舞ってたの?
「そんなサキ! 一体何時の間にそんなことに!
私もちょっとその現場は見てみたかったわ!」
「あ、聖処女様その現場見てみる?」
「[本音]お願いします([建前]私がそんなの見たい訳無いでしょう!?)」
「おっけー。ちょっと待ってね?」
「はっ、しまった!」
あまりのショックに動転が極まってしまったのか
私は本音と建前が逆になってしまった。違う、違うのよサキ。
貴女が不本意にそういう事を強要されているなら私がきちんと
止めたいと思っていただけなのよ。別に良いところまで見て
一通り満足してから全員ブチ倒して好感度上げるついでに
眼幅したかったなんてのは違うの。むしろ、それで邪魔された扱いで
逆に怒っちゃう位なパーフェクトどビッチでも私はサキが好きよ。
どちらかと言えば、そのくらいの勢いがある方が私は好みだわ!
「って違う違うそうじゃない。清廉清純なのが聖処女盃のマグダリア。
こんな事があってはならないし、興味本位でも見ていけないわ。
よし、止めないと。きっと夢魔の誤解で――」
「準備できたよー」
「………………………………………………で、どうすればいいの?」
此処は合理的にこの夢魔の能力を分析するべきね。
確かめて見て、危険性が高いならさっさと滅するべきでしょうし
能力が解れば対策も立てられるでしょう。ええ、サキにはちょっと悪いけど
私が今後この夢魔への対処の為に今回は夢魔を泳がせておきましょう。
大丈夫よ、サキ。私は信じているわ。きっと貴女がこの夢魔の言う通りの
どビッチだとしても私との友情と過ごしてきた日々は変わらないと!
さて、そんなことよりも実際にこの夢魔はどうする気なのかしら?
「一応、君に近しい人達の情報は事前に仕入れていたからね。
今から夢魔スキル〘虚ろな夢の瞼裏〙でこの場で見せてあげる。
目を閉じるだけで大丈夫だよー」
「ふむふむってこの場で? まぁ、今日はもう寝るだけだから
誰も部屋には来ない筈だけど……変なことしないでしょうね?」
「大丈夫、僕は実際に触るよりも夢でする方が好きだから♪」
「それもそうね」
まぁ、夢魔なんて言う位なんだからそれは夢の中が本番なんでしょう。
起きている間は戯れみたいなものなのね。む、その戯れでなんだか
翻弄されていると言うのは若干気に入らないわね。やっぱ、滅ぼしとく?
まぁ、あんな自信満々と準備万端で挑むというのなら
一応受け止めておくのが聖処女の器と言うもの。
それに夢魔のちょこざいなスキルに主神イースの理を心身に刻み
成長した聖処女盃の私が翻弄される訳無いでしょう?
此処は私の長年の鍛錬の成果による強靭な精神力を持って
あの夢魔をがっかりさせてやりましょう。
私は寝床で座禅組んで精神を集中する。
ふん、何処からでも掛かって来ると良いわ!
「瞼を閉じれば良いのね」
「はーい、いっくよー。
虚ろ虚ろな夢模様 瞳に映るは想残滓 綺麗に塗っては走馬灯
夢魔スキル〘虚ろな夢の瞼裏〙たっぷり楽しんでね?」
「お……ほぅっ」
私が瞼を閉じて夢魔が何やら詠唱を唱えるとぱぁあっと瞼裏が
光り輝いては明るい光景が広がっていく。
なんだか瞳を閉じているのに見えていると言うのは変な感覚だ。
あ、サキが居るわね。どうやら夜の食堂みたい?
私は実際に使ったことはないんだけど職員達の食堂があるのよね。
ああ、なんだかロウソクのほんのりとした灯りに映るサキとか
中々に幻想的だわ。あの子、性格は純朴なのに本当に見た目は映えるわよね。
もっと化粧とかすれば綺麗になるのかもだけど
やっぱり日々の仕事が忙しいのかしら? ちゃんと休み与えてるのよね?
あ、あらあら、なんだか職員さんや若い修道僧とかが集まってるわ。
//一般版なので詳細描写は割愛。熱烈な聖処女実況をお楽しみ下さい//
「ちょっとサキ! どういう事なの! すごくない?
え、そんないきなり大胆な! 焦らさないの!?
いきなりおっぴろげなの!? 凄い! どんだけ慣れてるの!?
ああ、あの胸ってあんなに跳ねるの!? ゴムマリじゃないのよ?
凄い指とか沈んでる! うっわー、皆でむしゃぶりついてるわ!
そんな牛や犬じゃないんだから、サキの乳房は二つなのよ?
おおっと此処でのしかかりに来るのね! 流石、若い子は大胆だわ!
あ、角度が! もうちょっと右から見たい! 気持ち右から出来ない?
お、そうそうそんな感じ! 其処から舐める様に恥骨から
下腹部へと沿って頂戴! 良いわねー! ナイス視点だわ!
嗚呼、サキの顔が蕩けている! こんな表情もするのねあの子!
若い子が想定通り早い! 気にしなくて良いのよ! 相手はサキですもの!
若いんだから回数で稼ぎましょう! さ! 頑張ってもう一回!」
―30分経過 聖処女タイム
「……ふん。まぁ、流石に生業にしているだけはあるわね」
「いやー、あそこまで楽しんで貰えると夢魔冥利に尽きるよ」
「誰が楽しんでいるのですか。私は貴方の能力を確かめただけです。
あの程度の幻術で私が翻弄される訳が無いでしょう?」
「あ、うん。そうだねー」
半刻ほど私は夢魔の能力で夢現な幻覚を見せられるけど
とても現実感の無い世界だったわ。流石にあの人数が食堂で
どったんばったん大騒ぎしてたら、誰か気付くでしょうし
問題にもなるわ。全く、夢魔の魅せる夢なんてチンケなモノね。
まぁ、息抜きには悪くないでしょうし、頑張ってるみたいだし?
滅ぼすのはもうちょっと後にしてあげましょう。
ふふ、私の寛大な心はやはり主神ノース様の理の賜物ね。
「(あっれー、おかしいなー。これ逆の意味で大変なお仕事だぞー)」
間食の一品目「聖処女の朝餉」に続く
「シャムール様、お時間大丈夫ですか?」
「ん? なんですか、サキ。どうしました?」
「えーと、ご相談が。マグダリア様に最近何かありました?」
アタシはサキ。この聖都の大聖堂でこの世界に命を捧げるべき
聖処女盃のマグダリア様にお仕えする神殿侍女の一人。
と言ってもアタシは小さい頃に戦災から保護された貴族の娘ってだけで
教養と家柄だけで取り立てられたし、本来は下女の仕事だって
憐れまれる事もあるんだけどね? それでもそんなアタシを
何か贔屓するでも軽蔑もしないマグダリア様は本当に素敵なお方!
流石、聖処女盃に聖別された事だけはあるわ。
ただ、そんな素敵なマグダリア様もなんだか最近変なのよね。
「いや、特には。マグダリア様に急な聖務が入った訳でも無い。
あー、新しく天界から天使が派遣されたとは聞いたが」
「うーん、天使様は見ましたけど、やっぱ気の所為ですかねー」
「どうしたのです?」
「いや、なんかマグダリア様のアタシを見る視点が
こう下に下がっているというか……なんでしょうかね、アレ」
そう、最近マグダリア様がアタシと喋る時ちょっと変なんですよね。
こう視線が少し下がっていると言うか、時々私の顔を見てぼーっとしたり
顔が赤くなったりしてそれでも聞かれまいとそそくさと話を切り上げたり
事が度々起こっている。以前はあまり見られなかったけど
最近みょーに行動にそういうのが出ている。何かあったのかと
アタシは今、神殿騎士のシャムール様に相談している所だ。
「うーむ。勘付かれたのかも知れませんね」
「え!? アタシの胸に大火傷があるってのは秘密の筈ですよ?
治療が上手くいかなくて肥大化もしちゃってますけど(ヒソヒソ)」
「それは最早、公然の秘密です。聖処女様の耳に入れておりませんが
あのお方も聡い上に慈悲深い。お前との付き合いも長いでしょう。
何とかしたいと思って頂けているのではないでしょうか?」
「うー、それなら、それで余りあるご厚意ですけど」
「ただ、自身の力を無闇に使うのは良くないと考えておられます。
その板挟みなのでしょう。良い主に仕えていますね」
「あ、あははは。ありがとうございます」
あー、そっちの方は全然意識が行ってなかった。
一応、口止めと言うか職員の皆は優しいので触るのは
勿論、話題に出すこともなかったのだけど
逆にそれがマグダリア様の気付きのきっかけになってたのかしら?
マグダリア様はほんっと頭が良い人だからね。
そりゃ、何時かは気付かれるけど、タイミング的に天使様が
何かもたらしたのかも知れないね? 流石はマグダリア様!
そんな天使様が遣わされる様になるなんて、もう人類は安泰ね。