起
プゥゥゥンン、そんな甲高い音ともに眩い光が目の前に現れ、そして……俺の意識が途切れる。
「翔くーん、朝ごはんできたわよー」
午前7時、そんな声とともに意識が覚醒する……が、眠気には敵わず再び意識が途切れる。
ドンドンドンと激しい音を鳴らしながら、何者かが部屋に近付いてくる。
ゴンゴンゴンと激しいノックをして、ガチャリと部屋の扉が開かれる。
「翔くん!朝ごはんできてるって言ったわよね?」
そんな声を布団の主に問いかける。
「母さん、あと5分、5分だけ待って………」
「翔くん、今何時だと思ってるの!?8時になったわよ!お父さんも随分前に仕事に行ったし、お姉ちゃんも、もう京都に行ったんだから!翔くんの食事が終わらないと片付けできないでしょ!」
布団の中からするりと手が出て近くに置いてある正方形の電子時計を掴み取り、また、布団の中に手を戻す。
バッ…そんな音を立て勢いよく布団を脱ぐ。
「母さん!なんで早く起こしてくれなかったのさ!もう、8時だよ!学校間に合わないじゃん!」
そんな八つ当たりを目の前にいる母親へと当たり散らす。
「翔くん……?お母さん3回下で呼んだわよ?なのにお母さんが悪いって言うの?それなら仕方ないわね、今日の晩御飯作りませんから!」
あぁ、確実に怒らせたな、帰ってきたら機嫌治ってるかな、いや、治らないな、と自分の中でシュミレーションし、直ぐに行動へと移す。
バッ…とそんな音をならしながら、日本の伝統文化?でもある、土下座を繰り出す。
「ごめんなさい、いえ、申し訳ありませんでした、すべて私めの不徳の致すところであります。何卒、何卒ご寛大の処置を!」
貴様にプライドはないのか!と怒鳴り散らす輩がいれば、当然に俺は答えることができるだろう。プライドで飯は喰えるのか?と。
チラチラと母親の様子を伺いながら許しを請う。高校3年生の図。現代において、こんな図は早々見られないだろう。
「はぁー、もういいわ。早く朝ごはんにしましょ、学校には連絡しとくから香月先生にありがたいお説教をもらいなさい。こんなことで5分無駄にしてるんだから、早くしなさい。」
そう急かされながら、急いで支度をする。