表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

五話 奇怪な手紙と助っ人と

 あー、眠いなぁ。入学式からもう数ヶ月経って五月も半ば。そろそろ疲れがたまってきて眠いのなんの。靴を履き替えながらそんなことを思う。


「ん?なんだろうこれ。名前は……無しっと」


 靴箱に入っていた一通の手紙。封筒は白一色で裏返しても書いた人の名前が無い。ただ表に『土御門 夜明様』とだけ印刷されている。


「これどうしよ?ここで開けるのもなぁ」


 靴箱の近くはかなり人が通る。どこか人気の無いところに行ってあげる方がいいだろう。


 クラスに荷物を置いた後私は図書館前まで来ていた。図書館はこの棟で唯一、四階で朝はやってないから人は基本こない。……ってかなんで図書室じゃなくて図書館なんだろ?


 ささっと読んで帰ろう。封筒は糊付けされていて簡単には開けれなかった。こうなったら綺麗に開けるのを諦めて封筒の上を持ってきたミニカッターで切って開けよう。中から出てきた便箋には数行しか書かれて、いや印刷されてなかった。


『今日の放課後、校舎裏まで来てください。面白いものが見れますよ』


「イタズラか?」


 面白いものってなんだよ!てゆーか校舎裏ってどこだろう……。この学校校舎は大きなロの字を書くように作られてるから四つか八つぐらい校舎裏があるんだけど……。しかも放課後って曖昧すぎだろ。掃除があったらどうするんだ。……もういいや。帰ろうっと。


 そんなこんなで6時間終わってやっと放課後。校舎裏に行くかな?それとも帰ろっかなぁ〜?


「土御門さん、少し頼みたいことが有るのですが」


 …めんどい。あー、でも先生のお手伝いって言い訳にはいいかも。一回校舎裏行ってから仕事しよう。うん、それがいい。


「なんでしょう?」


「六月に体育祭があるでしょう?そのための保護者案内を封筒に入れて宛名のシールを貼って糊付けして欲しいんです、全校生徒分」


 は⁉︎いやいや、ちょっと待って!この学校一学年200人いるんだよ⁉︎全校生徒600人なんですが⁉︎


「あとで人手を送ります」

「…はい、わかりました」

「ありがとうございます!」


 ……あの仔犬みたいなキラキラした目で言われたら断れないじゃない!しゃーない、頑張りますか。


 まぁその前に校舎一階を一回りするけどね。外に出るのはめんどいから校舎の中からみていくことにした。10分ぐらいかけてゆっくり一回りしたけど誰もいなかった。イタズラだろうね。


 教室に帰ってプリントを折り始める。一部を作って縦横交互に重ねていく。数十分かけて一部ごとに重ねていくのが終わった。そのあと一部づつ纏めて折っていく。


ーーコンコン


「失礼するね。大道寺先生に言われて手伝いに来た生徒会会計の若草 舜だ。よろしくね」

「手伝いに来た。土御門、久しぶりだな」

「ありがとうございます。一年五組の土御門夜明です。副会長はお久しぶりですね」


 先生がよこしてくれた人手は会計とアオだった。うん、先生たまにはやるじゃないか、手伝いにアオを選んでくれるなんて。余計なものも一つくっついてるけど。


「早速仕事をお願いしてもいいでしょうか。今私は一部事に重ねて今から一部事に折って行くところです。おひとりには封筒にシールを貼るのを、もうひとりの先輩には封筒に入れて糊付けをして貰いたいと思います」

「わかったよ。じゃあ俺がシールを貼っていくよ」

「じゃあ俺が封筒に入れて糊付けしていくな」


 さっきまでは1人だったから一つの机でやってたけど三人に増えたから横に机を三つくっつけることにした。……うん、私が一番前に座ってたのがいけないね。プリントって動かすのめんどいし。でも横三つだったらアオと横になるんだよ!これは横三つにするしか無いでしょうが‼︎


 あー、もう嬉しい!まさか学校にいる間にこんなにアオと一緒に居られるとは思わんかった。余計なのが一人いるから話せないけど一緒にいるだけでテンション上がってくね。


 ハイテンションでプリントを折り続けて数時間。やっと終わったよ。外はまだまだ橙色でくらくはなっていない。だがこの時間帯は逢魔が時。霊力が多い者にとっては下手に薄暗いよりもずっと危ない。


「お疲れ様です。案外早く終わりましたね」

「お疲れ。確かに思ったよりは早かったな」

「この封筒は俺らが生徒会室に持ってくように言われてるから先に帰っていいよ」


 え、六百通を二人で⁉︎途中で落としそうだな。手伝った方がいいかね?


「私も手伝いますよ」

「いや、暗くなる前に帰った方がいい。暗くなったら例え学園内といえども危ないからな」

「わかりました。ありがとうございます。失礼させていただきます」


 二人は封筒を半分づつ抱えると開いていた教室のドアから出て行った。アオは妖怪よりも人と妖の方が危ないとおもったんだろう。


 あ、因みに人型をとれて理性が強く人の世にとけこめるようなのを妖、人型を取れず本能のままに人を襲ったりするのを妖怪と呼ぶ。妖の方が基本的に強い。まぁかなりあやふやな区別なんだけどね。んで黄昏学園に所属しているのは全て妖だ。


 事務作業で疲れたな。手紙の事どうしよ?ま、イタズラだろうし今日は疲れたからサッサっと帰って休みますか。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ