2話 寮「アウラリア」
「貴方達は301号室です。これが鍵になります。鍵を紛失された場合弁償になるので気をつけてくださいね。あとこれが寮規則になります。目を通しておいてください」
今寮母さんに渡されたのはカードキーと緑の装丁の冊子。カードキーは水色と青に白とクリーム色の貝が縫い付けてある全てが革で作られたパスケースに入れられている。冊子の方には女子寮「アウラリア」規則と書かれていた。アウラリアというのがこの寮の名前なんだろう。
「土御門さん、部屋に行こっ!」
「ええ、そうですね。私達の部屋は3階ですね。エレベーターまで行きましょうか」
「すごいよね、学校の寮にエレベーターがあるなんてさ」
「確かにすごいですよね」
いや、もう本当に金持ち学園だなぁって思うわ。土御門がお金持ちでよかったと思うぐらいには。エレベーターに乗るとと3階をおして少し待つ。と言っても数十秒ではあるが。
エレベーターから降りて305室を探す。左手にあるようなので藤崎さんと話しながら歩いてゆく。
「305号室だ。もうすぐだね!寮なんて初めてだから楽しみっ!!」
「あ、つきましたよ。カードキーをかざすタイプのようですね」
話しながらドアを開けていく。そこに見えたのは広いリビングに小さなキッチン。リビングには食卓と椅子にソファとテレビがあった。そして左右両方に焦げ茶のドアが一つづつ。奥にはトイレなお風呂と思わしきドアがある。……これが社会格差かっ!これが寮何て豪華すぎるわっ!
「ほぇ〜、すごいね。左に私のネームプレートがかかってる!」
「私は右ですね。では荷物整理をしませんか?」
「じゃあ解散ってことで!」
靴を脱いで右手にあるドアに近づく。ネームプレートは青と白のタイルで作られていた。か、可愛いっ!
部屋の中に入ると左手に勉強机が。奥にベッドがあって。側面にはクローゼットと半分本棚、半分扉付きの物入れが合体したものがあった。どれも色が白で統一されていて清潔感が溢れるレイアウトだ。
部屋の中にあるダンボールを開けていく。めんどいな、荷物整理。札作り用の和紙・墨・筆とその他陰陽師必須アイテムはドア付きの物入れに入れていく。万が一部屋に誰か入って来て陰陽師だとバレたら努力が水の泡になる。それは流石にやだ。
ふー、だいたい片付いたかな。今6時だし夕飯にはちょっと早いな。じゃあ彼氏にーー生徒会副会長の鬼頭 蒼生に電話しよっかな。アオは(鬼頭 蒼生の事だ)鬼で攻略キャラなわけだが婚約もしちゃってるし、ヒロインに取られる心配もないんだよねっ!
『アカ、入学おめでとう』
「ありがとう、アオ!私の新入生代表のスピーチどうだった?」
『良かったよ。まさか代表になるとは思っていなかったが』
「うふふ、アオと同じ学園に入りたくて勉強したからね。これからもトップ取り続けてみせるよ!」
『頑張れ、アカなら努力すればできるからな。それにしても全く霊力が感じられなかったぞ。隠形でもしていたのか?』
「ピンポ〜ン!正解だよ!私の存在はまだ公表されて無いし、一般人として暮らしてみたかったから隠してたんだ。という訳でアオ、私が陰陽師だってことは内緒にしておいてね」
『わかった。済まない、呼ばれてるからきるな。おやすみ』
「わかったよ、おやすみ」
『愛してるぞ』
「っ!」
なんちゅう爆弾を最後に落とすんだ!もう切られてるし。あー!ヤバイ、恥ずかしい!でも嬉しいな、やっぱり。アオの声って低くてよく響くイケボなんだよね。その声が耳元で愛してるって……!もう身悶えものですね、はい。うん、夕飯を食べに行こう。そして頭を一旦冷やそう。
1階に降りてアウラリアの食堂に向かう。アウラリアって細かい所も女子用に可愛くされているから見ていて楽しい。
食堂は食券を買ってから頼むというスタイルらしい。何を食べようかな?夕飯はあんま量はいらないから小さめのスープパスタにしよう。食券を買ってカウンターに持っていく。
「すみません、スープパスタ一つお願いします」
「スープパスタね。ちょっと待ってて。今は生徒さんがいないから席に座って待っててもらっても平気だよ」
「ではお願いします」
スープパスタなんて久しぶりだな。家では和食ばっかり出るし。それにしても明日からどうしようかなぁ。後ろの席は攻略キャラだしな。取り敢えず攻略キャラとヒロインは避けるしかないか。アオも避けなきゃいけないのは辛いけど、卒業したら一緒に居られるし、三年間ならいっか。休みの日には外で会えるものね。
「お待たせ!スープパスタだよ」
「ありがとうございます」
スープパスタが来た!赤い、トマトベースのスープパスタみたいだ。麺はひらリボンみたいな形をしている。
「いただきます」
ん〜!美味しいー!スープの酸味がクセになるね。流石黄昏学園だなぁ。何もかもが最高品質だ。
スープパスタを食べ終わると部屋に帰った。明日から授業が本格的に始まるし早く寝ないとね!