白い魔法使い3
「あーらら、流石だねぇ、もう片付いたようだ」
新米の魔法使い達が壁を修復している隣で、王子とシャークが天井の地図を見ながら、お茶を飲んでいた。
「ブランカってのは魔獣?」
一緒に飛び出して行った白い狼。
「そう思ってたんですがねぇ、それにしては賢すぎるかもなんですよねぇ」
「神獣が人に従うとかありえないと思うんだけど
魔法で操るのも無理なはずだし」
「もっと歳食えば判るんじゃないですかね?」
☆☆☆☆☆☆
「「マリエル〜〜〜〜」」
デミとグラスが泣きそうな顔で座り込んだ。
「頑張ったな、お前ら」
岩から飛び降りて、2人に駆け寄る。
「「怖かったよぉぉぉ」」
「だよなぁ、よしよし」
グシャグシャと2人の頭を掻きまくる。
「致命傷ないか?治すぞ?」
「マリエル、致命傷あったら俺たち死んでるよ・・・」
「あぁ、それはそうか、じゃぁ大丈夫だな?」
アハハと笑う。
「うん、小さいのは自分で治せるよ、疲れのが辛いかも」
すっかり安堵した顔でデミが応えた。
「じゃぁ帰れ、送ってやる」
瞬間2人の目の前に移動の魔法陣が現れた。
「マリエルは?」
「おいらはブランカと歩いて帰るー、こっち来たの久しぶりだしー」
はよ陣に入れと言わんばかりにシッシと手のひらで追い立てた。
「うん、ありがとうマリエル」
「俺も、ありがとう」
陣の光に包まれて、2人が消えると
「ブランカ、少し探りながら帰ろうな」
そう言って白い狼を撫でる。
グゥ・・・と返事が返されると、1人と1匹は歩き出した。
「盗賊は仕方ないけど、魔法使いは腑に落ちねぇよなぁ」
歩きながら呟くマリエル。
一時も歩けば最初の街に着く。
何か情報があれば儲けだな、その程度の期待で先を急いだ。
☆☆☆☆☆☆
「マリエルの移動陣はこっからあそこまで1回で飛ぶんだな」
普通の魔法使いは短距離を数回かけて遠方に移動する。
それでも魔力の消耗は激しい。
自分以外の人も連れてとなると更に。
目の前に現れた傷だらけの魔法使いと兵士を見て、王子は言った。
「国内ならどこでも行きますよ、あいつは
底なしの魔力バカですから」
「まぁ魔力が多いのは認めるが・・・あいつは壊れないのか?」
魔力量は魔法使いが持つ許容量の器に比例する。
器が小さければ魔力は少なく、器が大きければ当然多い。
だが稀に器以上の魔力を持つ体質の魔法使いが生まれることがある。
だが、器と魔力の比例は絶対であるが故に、そう言った状態の魔法使いは魔力によって壊される事が殆どで、幼少のうちに消える。
「白い魔法使い、ってのもメリットなんでしょう
これが黒い魔法使いだったらアレでも壊れていたかも知れませんね」
「アレなら壊れなかったかも知れないぞ?」
「でもアレは白ですから」
「そうだな、白だな」
白い魔法使い、それは結界や陣を得意とし、光や風や水を使う。
黒い魔法使いは攻撃を得意とし、炎の使い方に長ける、と言われている。
☆☆☆☆☆☆
「やっほー、お姉さん達元気だった〜?」
街の中でも特に女性が集まる場所にマリエルは顔を出した。
「きゃーマリエルーーーーーっ」
数人の女の子が黄色い声を上げた。