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魔女のルーツ

作者: 潮原 汐

 魔女の女の子がいました。

 でも魔女の女の子は、魔女なんかよりもお姫様になりたいと思っていました。

 そこでお母さんの魔女に聞きました。

「お母さん、どうして私は魔女なの?」

「それはあんたのお母さんが魔女だからだよ」

「それじゃあお母さん、お母さんはどうして魔女なの?」

「お母さんのお母さんが魔女だからだよ。その前のお母さんも、そのまた前のお母さんも、ずっとずうっと前のお母さんも魔女だからだよ」

 それを聞いて魔女の女の子は考えました。

 一番はじめに魔女になったお母さんを、魔女にしなければいいんだ。

 魔女の女の子は魔女ですから、もちろん魔法が使えます。

 魔女の女の子は魔法で、お母さんのお母さんのお母さんがまだ子供だった頃に時間を遡りました。

 

 魔女の女の子は、自分と同じくらいのお母さんのお母さんのお母さんに聞きました。

「あなたは魔女なの?」

「そうよ、私は生まれた時から魔女よ」

 それを聞いた魔女の女の子は、魔法でずっと前のお母さんのところへ行きました。


 ちいちゃなずっと前のお母さんに聞きました。

「あなたは魔女なの?」

「そうよ、私は生まれた時からずっと魔女よ」

 魔女の女の子はずっとずうっと前のお母さんのところへ行きました。

 

 幼いずっとずうっと前のお母さんに聞きました。

「あなたは魔女なの?」

「そうよ、私は生まれた時からずっとずうっと魔女よ」

 魔女の女の子はそれからもっと前のお母さんのところにまで行きましたが、それでもずっとお母さんたちは魔女なのでした。

 

 そのうち、魔女の女の子は疲れてしまいました。

 あんまり疲れてしまって、魔法も使えなくなってしまいました。

 しかたないので、魔女の女の子はお休みすることにしました。

 人間になりすまし、村へ行きました。

 村にはとある男の子がいました。

 かっこうよくって、たくましくって、優しい男の子でした。

 魔女の女の子はたちまち恋に落ちました。

 魔法が使えない魔女の女の子は、男の子のために沢山がんばりました。

 おいしいお料理が作れるようになりました。

 綺麗な布を織れるようになりました。

 美しい歌を唄えるようになりました。

 やがて、男の子は魔女の女の子のことが愛しくなりました。



 それからしばらくして、幸せな二人の間に赤ちゃんが生まれました。

 魔女の女の子によく似た、魔女の赤ちゃんでした。

 魔女の女の子は気が付きました。

「私が一番はじめの魔女だったんだ」

 魔女の女の子は笑いました。

 もう自分が魔女であることは、ちっとも嫌ではありません。

 そのおかげで愛する男の子と、かわいい娘に会えたのですから。

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