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8 盾の街



 ――ディべーロ=ウルエルガ=マキナウォールは仲間の連絡を受けて、動き始めた。東側の入街管理所から盾の街に入る。衛兵が彼に何かを問う前に鋼の魔法を使い、その首を撥ねた。落ちるはずだった首に液化した鉄が巻き付き、硬化して固定する。見た目には衛兵がただ座っているだけに見える。衛兵を絶命させたことに気づかれずにディべーロは街に入った。

 ディべーロはこの場所に土地勘がある。中心部に位置する王の街のほうへ歩いていく。協力者の用意した宿で一泊するつもりだ。ヨフやリビトのいた西側に比べれば、東側の街は静かだった。デモの行進は行われているが、数がずっと少ない。

 元々あれはディべーロが潜入する際、リビトを西側に引き付けるために粛清教の面々が行っていることだ。目論見はうまくいったらしく、リビトは西側で忙殺されている。

 現在王の街にいる英傑は三人だとディべーロは思っている。

 “夢幻”リビト=マクラース=レイロン。

 “紅炎”アルディアル=ディアー。

 “千兵”レトレレット=フェイバー=クロノローク。

 三人とも戦闘に特化した魔法を使う、英傑の中でも指折りの強者だ。ディべーロも彼らと同じ強者の一人だが、彼らを二人以上同時に敵に回せば生き残れるかは怪しい。

 客員剣士という比較的自由の効く立場のリビトが暴動の鎮圧に駆り出されるのは目に見えていた。他の二人は王城近くから滅多に離れることはない。この時点での交戦は避けられる。

 おそらくいま残りの二人は、レトレレットは来たるべき悪魔の襲来のために休息をとっており、アルディアルはいつも通り気ままに研究室に引きこもっている。

 目を閉じてかつての仲間達のことを思い出す。ディべーロはいま、彼らに追われる立場にいる。しかしディべーロには彼らがどうでもよかったし、既にどうにもならなかった。

 すまないな。

 心中で誰かに詫びる。今は亡き妻と子を思い、ディべーロは自分の左胸に手を当てる。憎悪と悲しみで心臓が軋む。

 せめて弔いに血を添えよう。

 例え君が望まなかったとしても。




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