第1話:赤マフラー
『人間が世の中を占領している――――』
『あたかも他の生物が人間を崇めているように
そしてあたかも他の生物が人間の下僕のように――――』
今日も赤様が現われた。
インターネット上に突如出現した詩人である。
その赤様のHPは毎日更新される。
いつもきっかりPM10時にだ。
このHPの存在を知ったのは1週間前のことだ。
「なぁ小宮山知ってるか?」
俺は突然投げかけられた質問に主語が抜けてるだのちゃちゃをいれた。
「なんかすげぇHPがあってさ。」
特に自分は機械に興味がない、パソコンの使い方もままならない状態だ。
興味のないことには軽い相槌と多少の知識で補って返した。
友達の熱の入った話し方にはビックリしたが、なにせ興味がないのだから同じくらいには熱くなれなかった。
「マジでなんだって!だから見てみろよ!」
最後もなんとなく気が入らない返事を返した。
放課後そんな会話があったかも忘れて、下校の準備をしていた。
まだ空は明るく、そろそろ冬がくるのにというくらいだった。
来週からテスト期間に突入する事から、来年は受験生なので図書館にでも勉強しに行こうかと考えていた。
平べったくなっている学生カバンに入るだけ教科書を詰め込んだ。
図書館は学校から少し離れたところに存在している。
少し寒くなった季節なので室内は軽く暖房を入れていた。
この図書館は3Fまである。
1Fには、児童が自由に本が読めるような明るい空間になっている。
2Fには、パソコンで小説が読める設備が整えてあり本も参考書より、夢のある本ばかりだ。
3Fには、自分みたいな学生が勉強する環境になっている。参考書が壁一面に並んでいて、居るだけで頭がよくなった気分になってしまう。
3Fへは階段で上がっていく。上昇施設には欠けているのが難点かと勝手に思っている。
とりあえず3Fへ到着し、1番手前の長い机の1番端っこに座る。
テストを控えた自分の定着位置なのだ。
腰を掛けてからカバンの中から教科書とノートを取り出し筆箱を出そうとしたとき初めて筆箱がないのに気付いた。
初めてのことに多少おろついたが、3Fにある貸し出しのカウンターで借りればいいことを思いついた。
そして、カウンターに向かって歩き出そうとしたとき目の前にいきなり赤いものが見えた。
そう思った次の瞬間
ドンッ
何かと衝突した。
それは長い黒髪に白い肌、そして目にも鮮やかな真っ赤のマフラーをした女の子だった。
読んでくださった方ありがとうございます。今回はちょっと今までに書いた事のないようなものに挑戦してみようと思って書きました。これからの展開はまだあやふやなんですが、なんとかまとめて書けていけたらと思います。