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第2話:劇的ビフォーアフター! 最強イケメンになった幼馴染に、外堀から埋められ始めてます

翌日


「キャサリン、男性の髪を切るのが上手な所って知らない?」

 

 あのもっさりの塊のようなアルフレッドの髪を普通の人間にするのだ。並の美容院では難しいだろう。ここは情報通のキャサリンに聞く。


「だったら、大通りにいいお店があるわよ。どうしたの?」


 昨日の今日でいきなり男性の髪なんて言い出したクラウディアにキャサリンは興味津々だ。


「アルフレッドの髪を切ろうと思って。前髪がうっとうしいでしょ。」


 アルフレッドをなんとか普通の人間にしたいのだと相談するクラウディアにキャサリンの瞳が輝く。


「そうね。アルフレッド様はきっとあのボサボサの髪と無精ひげをどうにかしたらきっと人気が出ると思うわ。今日、終わったら案内しようか?」


 乗り気なキャサリンの手を取った。


「ありがとう。あと実はアルフレッドは瞳にコンプレックスがあってそれで顔を隠しているのよ。だから、お願いだから何を見ても自然に接してあげてね。」


 キャサリンに釘を刺しておく。髪を切ったことで却ってコンプレックスが重くなって国を滅亡させたら大変だ。

 

「クラウディア、本当にやるのか?」

 

 クラウディアがへっぴり腰のアルフレッドをグイグイ押しながらキャサリンおすすめの美容院に無理やり入れる。

 なかなか予約の取れない店らしいが、キャサリンの持つコネでここのカリスマ美容師の予約が取れたのだ。


「アルフレッド、今日お弁当食べたよね。」


 さあ、対価を払えとばかりに言うクラウディアにアルフレッドが幸せそうに答えた。


「美味しかった。明日も食べたい。」


「だったら?」


 クラウディアの本気にアルフレッドが折れた。


「どうにでもしてくれ。」


 わかれば良いのよと言わんばかりのクラウディアが店の人に引き渡す。


「すみません。とにかく彼をかっこよくしてあげてください。髪もヒゲも全部すっきりさせて。ください。」


 あとはプロに任せよう。断頭台に立つような神妙な面持ちのアルフレッドとハサミをシャキシャキ軽妙に鳴らしながら笑うカリスマ美容師。


「なんだか、凄いモサモサだなあ。久しぶりに腕がなるよ。」


 数分後


「クラウディア、アルフレッド様がヤバいわ。」


 そう、クラウディアも思っていた。モサモサの髪と無精ひげが無くなったアルフレッドはめちゃくちゃかっこよかったのだ。

 しかも、あの綺麗な深紅の瞳が神秘的で唯一無二の魅力となっている。


「いやー。いい仕事したな。」


 カリスマ美容師が、ご満悦そうに笑う。それはそうだろう。あのモサモサのダサい男がいきなりイケメンになったのだから。


 しかし、まだ不安げなアルフレッドにクラウディアはヘンテコでもかけようと用意していた言葉をかける。


「アルフレッドよく似合っているわ。他の誰がなんといおうと私はその髪型が大好きだわ。」


 幸せそうに破顔したアルフレッドにクラウディアは胸がきゅううんとなるのを感じた。

 おかしいわ。私のトキメキは全て推しであるシュバイデン様のものなのに。


 でも、幼馴染のこんなに無垢な笑顔を見たら、誰でもきっとこうなるに違いないわ。


 クラウディアは店内を見回した。周りにいた女性客やスタッフの目もハートになっている。


 やっぱり私だけではなかったわね。大丈夫。


「クラウディアが気に入ったのなら、この状態を保持するように魔法をかけておくよ。だからクラウディア、約束忘れないでね。」


 さすが魔術師会が必死で欲しがった逸材。髪を維持するだけに魔法を使うなんて。


 しかしこれで大丈夫だ。土壇場で深紅の瞳が嫌だと暴露されて婚約破棄の憂き目にあって傷つく未来は防げるはず。



 しかし、翌日。



「「「キャー、アルフレッド様」」」


 昨日までシュバイデン様一色だった推し活メンバーが二分していた。


 クラウディアは慌てて推し活仲間に聞く。


「どうしたの?」


「どうしたのではありませんわ。あれはクラウディア様がプロデュースされたと聞きますわ。何という神業。」


 剣を振るアルフレッド。凄い。魔術で髪が昨日のまま綺麗にキープされている。

 決して風に靡いたりはしない。しかし、あの綺麗な瞳が常に見えている。

 それに土埃にまみれても一切汚れることなくキラキラしていた。アルフレッドったら、本当に無駄にチートなんだから。


「キャサリンに紹介していただいたカリスマ美容師のおかげですのよ。」


「まあ。素敵だわ。」


「皆様はアルフレッドの瞳についてどう思われます?」


 これは聞いておかねば、将来子供の瞳がなどと言われれば、アルフレッドが傷つく。

 

「神秘的で素敵ですわ。」


「ええ、あの唯一無二の瞳で見つめられたい。」


 やったわ。たくさんの令嬢たちが好意的だわ。これでアルフレッドにアリス以外の素敵な令嬢を紹介できるわ。


 その時


「皆様、お弁当を作って参りましたの。どうぞ召し上がれ。」


 騎士団長令嬢アリスだ。推し活仲間達が歯ぎしりする。

 そうなのだ。私たちが遠目から眺めているしかできないのに、アリスはいつも良いところをもっていくのだ。

 今までは仕方ないと諦めていたクラウディアもあの水晶玉を見てからは彼女に思うところがある。


「アルフレッド様、よろしければ私とお弁当を食べましょう。」


 クラウディアは歯ぎしりをした。いつもシュバイデン様にベタベタしているくせに今日はどうしてアルフレッドに行くのかしら。

 最後に瞳が気味悪いなんて酷い事を行って振るような女が私のアルフレッドに近付くんじゃないわよ。気のある素振りは止めてあげて欲しいわ、期待してアルフレッドが傷つくじゃない。


 だが。

「今日はクラウディアにお弁当を作ってもらっているから、いらない。」


 そうだアルフレッド。そんな二股女の弁当など断われ。


「まあ、とっても美味しく出来ましたのに。」


 アリスが上目遣いでアルフレッドを誘惑する。いかん。これ以上は女に免疫のないアルフレッドには危険だ。

クラウディアは叫んだ。


「アルフレッド、こちらで一緒にご飯を食べ……。」


 言い終わらないうちに、アルフレッドが瞬間移動してきた。


「クラウディア、良いのか?いつも駄目だっていうのに。」


 嬉しそうなアルフレッド。手にはクラウディアお手製のお弁当箱。

 あっけにとられたようにこちらを見つめるアリスに、クラウディアは勝った、と満足する。

 アリスよ、君はいつも通りシュバイデン様と食べていなさい。

 結局、寝取っちゃうくらい好きなのでしょう。今日も安定のキラキラ具合よ。

 アルフレッドには彼を大切にしてくれる性格の良い子を紹介してあげたいんだ。


「アルフレッド、今日だけ特別よ。皆と一緒に食べましょう。」


推し活仲間の歓声の中。皆でわいわいと昼食を囲んだのだった。


次回、私服改造でさらにイケメン度アップ!


 そしてついに恋が動く交流試合へ――

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