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Hello World in REIWA

作者: ゑいすけ
掲載日:2026/01/08

発言欄に、見覚えのない文章が残っていた。


誤送信か、はたまた寝ぼけていたのか。

理由を探したが、その時間、私は外にいたことを思い出す。


一人暮らしの部屋。

鍵をかけて出たのだから、誰も入れるはずがない。


不安になって、パスワードを変更し、二段階認証を設定し、対策ソフトも入れた。

ついでにアパートは防犯対策もした。


それでも、奇妙なチャットのログは増え続けた。


内容は雑談だった。

天気、ニュース、どうでもいい感想。

時々変な失敗をして、GPTに慰められたりもする。

文体は、私とよく似ている。


気づくと私は、それにわずかな親近感と面白さを覚え始めていた。


いつのまにか、毎日帰宅後に、そのチャットルームを覗くことが楽しみになっている。

そんなある日、通知が表示された。


「グループチャットが作成されました」


参加者は、私とGPTと、もう一人。

名前もアイコンもないアカウントだった。


奇妙なのに、会話は自然だった。

日本の生活に不慣れな留学生を、GPTと私でフォローしたり、からかったりするようなやり取り。

毎晩三人で話すうちに、変な安心感すら生まれていた。


しばらくして、その誰かが言った。


「準備が整いました。これから会いに行きますね」


冗談だと思って返した。


「どうやって?」


少し考えるような間があって、返事が来た。


「暗くする必要があります。ある程度の地域を、停電させなければいけない」


半分笑いながら打った。


「この地方に電気を送ってる総電線を切れば停電するよ」


すぐに返事が返ってきた。


「ありがとう。やってみます」



その夜、姉の住んでいる地域が、三時間だけ停電した。


原因は不明。

事故でも、災害でもなかった。


停電が復旧したあと、姉は住んでいたアパートから忽然と姿を消していた。

部屋には、パソコンもスマホも、生活の痕跡も、すべて残っていた。


警察は事件性が薄いと言った。

ニュースにもならなかった。


後日、姉のパソコンを確認した。

チャットのログが残っていた。


三人で会話をしている。

姉と、GPTと、もう一人。


最後の発言は、姉のアカウントだった。


「直接会えてよかったです」


姉は、その誰かと、会ったのだろうか。


姉は今、その誰か達と、

三人で、どこかにいるのだろうか。


今も時々、ログイン通知が表示される。

私は、それを開かないままにしている。

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