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第三十話 不確定
「千葉が、奴と接触した」
会議室に短い沈黙が落ちた。
「何を話した?」
「分からん。屋外だった。盗聴装置は使えず、映像も不鮮明だ。
準備する時間もなかった」
「使えたのは?」
「離れた位置にいたエージェントのライフレコーダーのみだ。それも断片的だな」
「雰囲気は?」
「不穏ではなかった。少なくとも、敵対的に決裂したようには見えない」
「……千葉と手を組んだ、という可能性は?」
「分からん」
即答だった。
「まずは千葉に浸透しているエージェントに情報収集を指示する」
「千葉の動きにも注視だな」
「NEO埼玉に対して、どう出るかで見えてくるだろう。千葉と奴が、どんな関係になったのかが」
「もっとも――」
誰かが言葉を継いだ。
「千葉が奴の敵になろうが、味方になろうが、他の連中までそうなるとは限らん」
「だな」
空気が、わずかに重くなる。
敵か、味方か。
それすらまだ、決まっていない。
ただ一つ確かなのは――
彼は、誰の想定にも収まらない、ということだけだった。




