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第二十四話 実験
とある会議室。
「……ついに、実際行動に入り始めるようだな」
静かな声だった。
「ニシウラワ君が“川口”の何人かを捕獲してくれたおかげだ」
「思った以上の情報が入手できた」
別の男が頷く。
「彼の選択眼は、やはり確かだな」
「捕獲した者は、どうした?」
「――廃棄しました」
ためらいはなかった。
「よし。搾りカスに、用はない」
冷たい肯定。
「尻に火がついた」
「連中も、慌てて動くだろう」
「いや……動かざるを得まい」
「望むところだな」
短い笑い。
「さて…どこから、何を始めるだろうか」
卓上の地図に視線が落ちる。
「誰かが、何かを起こす」
「それに、我々がどう対処するかを積み重ねる」
「そして――」
指先が、地図の一点を叩く。
「次への、予防策を考える」
沈黙のあと、誰かが言った。
「これも……実験だ」
誰も否定しなかった。
人も、土地も、衝突も。
すべてはデータ。
関東の均衡は、すでに観測対象へと落とされていた。




