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第二十三話 警告
「――“川口”の何人かが、消息不明だ」
会議室の空気が、目に見えて張り詰めた。
「スポンサーから情報が来ている」
「凄腕の傭兵が入り込んでいるらしい」
誰かが、低く息を呑む。
「そいつによって、諜報関係者が何人も消されている」
「正体も、雇い主も、目的も……スポンサーですら掴めていないそうだ」
「……“川口”も、そいつの仕業か?」
「分からない」
即答だった。
「分かっているのは一つだけだ」
「NEO埼玉に敵対する者が、優先的に消えているらしい」
沈黙。
「……そいつを、排除することは?」
一瞬の間。
「専門家相手に、我々のような素人が敵うと思うか?」
否定の言葉は不要だった。
「となれば――」
声が、覚悟を帯びる。
「その手が迫る前に、動くしかないな」
「“深谷”に警告を出そう」
「“鴻巣”にもだ」
誰も反対しなかった。
これは撤退ではない。
防御でもない。選択だった。
「準備を急げ」
「もう、様子見の段階じゃない」
会議室を出る背中には、
恐怖よりも、決意が色濃く滲んでいた。
彼らはまだ知らない。
警告が届く前に、
すでに“選別”は始まっているということを。




