第十五話 続く者たち
街角の大型モニターが、正午のニュースを映し出していた。
雑踏の中でも、音量だけはやけに大きい。
「――正午のニュースです」
アナウンサーの声が、無機質に響く。
「岐阜県が、メガフロート移転計画を正式に発表しました」
画面には、完成予想図。
海上に浮かぶ巨大構造体と、新しい県章。
「すでに滋賀県、福井県に対し、領土売却を打診しており――」
人の流れが、わずかに滞る。
「……とうとう、NEO埼玉に続くところが出始めたか」
スーツ姿の男が、立ち止まって呟いた。
「一六銀行が投資信託を出すって話……これか」
別の男が、端末を操作しながら頷く。
「NEO埼玉は、応援するかな?」
「成立すれば、NEO埼玉にとっちゃ……」
考える間を置いてから、誰かが言う。
「同志でもあり、ライバルでもあるな」
笑い声が混じる。
「とりあえず、上がりそうな株を物色だ」
足早に去っていく人々。
興味を示す者。
無関心な者。
だが、確実に何かが変わった。
NEO埼玉は、例外ではなくなった。
前例になった。
一つの“異常”は、二つ目が現れた瞬間に、潮流へと変わる。
街角のモニターは、次のニュースへと切り替わる。
だがその背後で、関東だけで完結していたはずのゲーム盤は、静かに、日本全土へと広がり始めていた。




