わがまま王女さまとはぐれもの吸血鬼

　裏世界＿＿＿＿＿

　異能者が暮らすこの世界には、各々の文化が発達した大陸が三つ存在する。

　そのうちの一つ、ルミネア大陸。この大陸にはかつて多くの種族の国が共存し、国家間の争いも少ない平和な土地であった。

　しかし今から約600年前、その種族のうちの一つであった吸血鬼が襲撃を始め、ほとんどの国が滅亡させられてしまう。長い年月を経て大陸に残ったのは、吸血鬼たちが築いたウラドニア帝国と、魔術を操る異能者たちが築いたヴァルセリオン王国であった。

　このヴァルセリオン王国に第二王女として生まれたミレーナは、勉強が苦手でイタズラが好きな、やんちゃな女の子。その好奇心ゆえにいつも厄介ごとに巻き込まれては、両親に呆れられていた。

　ある日彼女は、大嫌いな歴史の講義で聞いた吸血鬼の国との国境にある森に興味を持ち、こっそり城を抜け出す。しかし森の中で道に迷い、城に帰れなくなってしまった。

　途方に暮れていたとき、彼女は森でアレンという青年に出会った。彼のおかげでなんとか城へ戻ることができた彼女だったが、誰にもバレずに城を抜け出すというスリルにハマってしまい、その後も何度か彼に会いにいく。アレンはそっけなく応じていたが、いつも楽しそうに微笑む彼女に、次第に心を許すようになった。

　しかし月日が流れ、成長したミレーナは王女としての公務に追われるようになってしまい、アレンと会える日々が少なくなる。やっと業務が落ち着いた日、ふと部屋の外を見ると、そこには黒く大きな羽を生やした彼の姿があって＿＿＿＿＿？

厄介事に好かれるわがままな王女さまと、大陸を恐怖に陥れた吸血鬼の、禁断の恋の物語。